トランプ大統領は、2025年4月10日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで行われた閣議で演説を行った(Anna Moneymaker/Getty Images)

経済を武器とする政治術 トランプ氏の国家運営

トランプ政権による相互関税は、株式市場に混乱を引き起こし、アメリカの貿易相手国や国内の政敵からは「有害な貿易戦争だ」と批判を受けている。一部の党派的な経済学者は、トランプ政権の関税政策を、1930年の悪名高いスムート・ホーリー関税法になぞらえて批判している。同法は世界恐慌を長引かせたとされる。しかし、経済史家アミティ・シュレーズ氏をはじめとする経済学者らは、その原因はむしろルーズベルト政権のニューディール政策( 公共事業を行うことで失業者に仕事を与えた)にあるとしている。

しかし、関税政策に対する多くの反応には、それがトランプ政権のより大きな地政学的戦略にどのように貢献しているかについての理解が欠けている。

トランプ氏の関税は、政権の世界に対する全体的な地政学的アプローチの中で見るべきだ。このアプローチには、モンロー主義(アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱したことを指す)の再活性化、中東やウクライナでの関与縮小、ロシアと中国との三角外交、インド太平洋地域への戦略的軸足の転換などが含まれ、トランプ氏は経済を外交の手段として使っているのである。

▶ 続きを読む
関連記事
顏純鈎氏は、中国経済の低迷は習近平の戦略的誤判断に起因すると指摘。失業増加と投資減退、国進民退の進行が構造的行き詰まりを招き、政権の安定すら揺らいでいると論じた
学校教育で電子機器の利用が広がる一方、子どもたちは自然や生活の中で学ぶ機会を失いつつあります。手で触れ、観察し、体験する学びの大切さを考えます。
『論語』が教える「人としてのあり方」。テクニック重視の現代社会で、ブレない自分軸を持ち、真に豊かに生きるための『論語』。これこそが、あらゆる事業、組織、そして家庭が長期にわたって安定して存続するための真髄だ
中国共産党は、世界最大の経済超大国になるという目標を加速させるため、GDPで日本を追い抜いた後、日本を代表する上場企業である産業・金融大手の企業群に浸透することに邁進し始めた
初めて日本を訪れ、京都・清水寺の回廊に立った著者が流した「理由なき涙」。それは失われた中国隋唐の息吹が、日本の日常に「仁義礼智信」として今も息づくことへの郷愁だった