経済を武器とする政治術 トランプ氏の国家運営
トランプ政権による相互関税は、株式市場に混乱を引き起こし、アメリカの貿易相手国や国内の政敵からは「有害な貿易戦争だ」と批判を受けている。一部の党派的な経済学者は、トランプ政権の関税政策を、1930年の悪名高いスムート・ホーリー関税法になぞらえて批判している。同法は世界恐慌を長引かせたとされる。しかし、経済史家アミティ・シュレーズ氏をはじめとする経済学者らは、その原因はむしろルーズベルト政権のニューディール政策( 公共事業を行うことで失業者に仕事を与えた)にあるとしている。
しかし、関税政策に対する多くの反応には、それがトランプ政権のより大きな地政学的戦略にどのように貢献しているかについての理解が欠けている。
トランプ氏の関税は、政権の世界に対する全体的な地政学的アプローチの中で見るべきだ。このアプローチには、モンロー主義(アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱したことを指す)の再活性化、中東やウクライナでの関与縮小、ロシアと中国との三角外交、インド太平洋地域への戦略的軸足の転換などが含まれ、トランプ氏は経済を外交の手段として使っているのである。
関連記事
トランプ政権が敵対的政権の金融センターを標的に定めたことで、中国に対する米国の「戦略的曖昧さ」の時代は終焉を迎えた
トランプ政権が難航するCDC局長人事で指名したシュワルツ氏。巨大保険会社の幹部歴を持つ彼女は、コロナ禍の「負の遺産」を隠蔽するのか、それとも真相究明に動くのか。組織改革と利益相反の狭間で揺れる米公衆衛生の核心に迫る
ある冬の夜、一頭の牛の最期に立ち会った牧場主の告白。「効率」や「平等」という言葉では片付けられない、命を背負う責任と、過酷な現実に立ち向かう「男らしさ」の本質を紹介する
AIがもたらす「豊かさ」は、しばしばインフレを過去のものとし、貨幣さえ意味を失わせる未来像と結びつけて語られる。だが、その見方はあまりに楽観的だ。AIが供給力を押し上げても、価格も貨幣も、そして経済の摩擦も消えはしない
イランは反撃されることはないと過信し、代理勢力を通じた挑発を続けてきた。しかし、トランプとネタニヤフという「ルールを厭わない」指導者の登場が、その慢心を打ち砕く。軍事拠点を破壊され窮地に陥るイランの誤算を暴く