孫毅氏が、自ら書いたSOSの手紙を手にしている。手紙は世界中を巡り、孫毅の元に届いた。(Courtesy Flying Cloud Productions)

安さの代償 中国製品の裏に潜む強制労働

2012年、米オレゴン州の女性がKマートで購入したハロウィーンの装飾品の箱を開けたところ、中から一枚の紙切れが現れた。たどたどしい英語で書かれたその手紙には、こう記されていた。もしあなたがこの製品をたまたま購入したのなら、どうかこの手紙を世界人権機構に転送してください。そこには、長時間労働、暴力、そして過酷な中国の労働収容所での実態が綴られていた。

この手紙を書いたのは、孫毅(スン・イー)というエンジニアであり、夫でもある男性だった。孫さんは、中国共産党により非合法とされた精神修養法「法輪功」の修煉を理由に投獄されていた。

私はこの物語を、ドキュメンタリー映画『馬三家からの手紙』で伝えた。今でも彼の穏やかで静かな表情を覚えている。その内面には、鋼のような確固たる意志があった。彼の書く一行一行には、恐怖と希望が交錯していた。孫さんは、その手紙を外部に出すことで自らの命を危険にさらした。自分が永遠に自由になれないかもしれないと知りながらも、彼は真実を知れば、人々は関心を持ってくれる、どこかの誰かが、きっと行動してくれると信じていた。

▶ 続きを読む
関連記事
米国はイラン戦争でミサイル備蓄の約3分の1を消耗。補充に数年を要し、日本・台湾の対中抑止に影響する可能性が指摘される
ロシア軍は戦車約1万2千両を失い、T-90Mも撃破されるなど装甲戦力が深刻に消耗。ドローンと対戦車兵器の普及により戦術は大きく変化し、戦車の役割そのものが再考を迫られている
中国による海外オンライン証券への規制強化は、香港市場の流動性を奪い、投資家の資本逃避をさらに加速させる恐れがある。インサイダーリスクや、暗号資産・大手銀行への資産避難など、広がるチャイナリスクを解説
経済・軍事・資源・技術の各分野で米国が優位に立ち、中国共産党は依然として対抗困難とする論考。人口規模や成長神話の裏にある構造的弱点を指摘する
米中会談での合意の欠如は、今後の米中間の地政学的不安定性を示している。ホワイトハウスは中国側によるボーイング機200機および農産物の購入を含む合意事項を発表したが、中共政府側は公に同意していない