2025年3月24日、参議院外交防衛委員会(第三回)で質疑を行う有村治子(自由民主党)議員(参議院インターネット審議中継スクリーンショット)

日米で進む学術交流の見直し 中国共産党への懸念が焦点に

日米で高等教育と国家安全保障のあり方をめぐる議論が激しさを増している。背景には中国共産党(中共)による影響力拡大や「国家安全」を最優先する中共の姿勢への警戒感が強く、日本でも外国人留学生への多額の給付をめぐる問題が表面化し、支援制度の見直しが進んでいる。一方、米国ではハーバード大学と中共の関係が安全保障上の懸念となり、外国人留学生への規制が強化された。学術交流と国家の安全保障をどう両立させるか――中共への懸念を背景に、日本は今、国際化と国益のはざまで大きな岐路に立たされている。

日本の博士課程学生向け支援制度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」をめぐり、外国人留学生への多額の給付が社会的な議論となっている。2024年度のSPRING受給者1万564人のうち約4割にあたる4,125人が外国人で、そのうち中国人が2,904人(全体の約3割)を占めることが明らかになった。国会では3月に有村治子参議院議員が「国民生活が厳しさを増す中、日本の学生を支援する原則を明確に打ち出さなければ理解が得られない」と指摘し、制度の見直しを求めた。こうした声を受け、文部科学省は「日本人学生への支援内容の拡充」や「日本人と留学生の支援内容の見直し」を含む制度改革に着手し、今夏までに具体案をまとめる方針だ。

一方、米国ではハーバード大学と中共の関係が安全保障上の大きな問題として浮上している。トランプ政権はハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を一時取り消し、留学生比率を現在の約27%から15%程度にまで制限すべきだと主張。特に中共と関係のある中国人留学生や、重要分野を研究する学生に対してはビザの取り消しや審査の厳格化を進めている。

▶ 続きを読む
関連記事
米経済指標の好調さとは裏腹に広がる「不況認識」。主要メディアやニュースアグリゲーターの報道バイアスが人々の心理と世論をいかに誘導しているかを検証する論評
米CDCの報告システム「V-safe」に埋もれていた、無数のワクチン被害者の生々しい手記。公衆衛生を信じながら孤立と破壊に追いやられた人々の悲痛な声と、その過酷な現実に直面した筆者の苦悩を綴った論説
台北市長選で、民進党の沈伯洋氏への支持が若者や無党派層に広がっている。「洋流」と呼ばれる動きを、市政への不満、政策と対話を重視する姿勢、中国共産党による選挙介入疑惑から読み解く
米中首脳会談は中国優勢との見方を覆し、米国の圧倒的勝利と分析。OpenAIの暴走騒動や米中AI開発競争の激化、米「AI軍」創設宣言が力関係を一変させ、中国を交渉の場へ追い込んだ舞台裏に迫る
国家は永遠ではなくとも、先人から受け継いだ伝統文化や祈りを次代へ手渡す責務は残る。東西の古典や思想を手がかりに、国家崇拝や排外主義に陥らない健全な祖国愛のあり方と、私たちが果たすべき務めを静かに問い直す論考