研究資金が不足する中、科学者たちはブラックホールをハドロン衝突型加速器の代わりとして、暗黒物質など捉えにくい微粒子の探索に活用することを提案しました。画像はブラックホールの模式図(Shutterstock)

ブラックホールは「天然の加速器」? 科学者が示す新たな可能性

研究資金が大幅に削減される状況の中で、科学者たちは高額なヨーロッパの大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider)に投資するのではなく、ブラックホールを利用するべきだと主張しています。

6月3日付の米国ジョンズホプキンス大学のニュースリリースによると、同大学の研究チームは、超大質量ブラックホールが人工的な加速器の代わりに、天然の衝突型加速器として機能する可能性を示しました。連邦政府による予算削減の中、科学者たちはより簡便かつ自然な手段として、ブラックホールを利用して暗黒物質などの微粒子を探ろうとしています。これらの微粒子は、宇宙の最も神秘的な謎を解く鍵となるかもしれません。

この研究により、ヨーロッパのような大型ハドロン衝突型加速器にかかる数十億ドルの支出や、数十年の建設期間を補える可能性があります。スイス・ジュネーブ近郊にある欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器は、現時点で世界最大かつ最も高エネルギーの粒子加速器です。

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