ほうれん草と納豆の味噌汁  料理イメージ画像

胃腸と腎を守る ほうれん草と納豆の味噌汁

脾胃と腎は、中医学では「後天の本(生まれたあとのエネルギーの源)」と「先天の本(生まれつきの生命力の根)」と呼ばれ、健康を支える二つの大切な基盤と考えられています。

秋分のころは脾胃がひどく疲れ、腎の精も消耗されやすく、その影響で肝の気が滞り、肺が乾燥して弱まりやすくなります。だからこそ、この時期は「脾胃を養い、根を固め、肺を潤し、肝気を整える」ことが養生の要となります。

その考え方に沿って、納豆とほうれん草を使った旬の味噌汁をいただけば、根本から体を支えてくれる一杯となります。

 

納豆 ― 脾を健やかにし、気を補い、腎を養う

納豆は平性で味は甘く、脾と腎に働きかけます。発酵した大豆に含まれる乳酸菌や多糖類は腸内環境を整え、消化吸収力を高めるため、脾胃に湿がたまって食欲の落ちた人に向いています。

納豆(Shutterstock)

中医学では、豆類はその形が腎に似ていることから、生命の精を宿した種子として腎を補う働きがあると考えられています。さらに、発酵食品に含まれる有効成分は腎のエネルギーと呼応し、体の基盤を支える力を高めます。その結果、気血を養い、脾胃と腎精という体を支える二つの根本を同時に整えることができます。

また、納豆は高タンパクで低脂肪、食物繊維やビタミンK2も豊富に含みます。腸の働きを助け、血流を良くし、体重管理や血糖コントロールにも役立つ優れた食材です。

 

ほうれん草――肝をととのえ、血を養い、胃腸を支える

ほうれん草は平性で、味は甘に属し、肝と胃に働きかけます。肝の気の巡りをよくし、脾胃を健やかに保ち、腸を潤して便通を助ける作用があるとされています。秋は肝の気が滞りやすく、脾胃も湿気で弱りがちですが、ほうれん草を取り入れることで胸のつかえや胃の張りをやわらげ、食べ物の消化吸収を助け、血を補う栄養も与えてくれます。

ほうれん草(Shutterstock)

栄養学的に見ると、ほうれん草は食物繊維やクロロフィル、植物性鉄分を多く含み、さらにビタミンCやβ-カロテンも豊富です。これらは鉄の吸収を高め、免疫力を強めるだけでなく、便秘の改善にも役立ちます。

 

レシピ:ほうれん草と納豆の味噌汁

材料(2人分)

  • 納豆……1パック(約40g)
  • ほうれん草……50g(洗って食べやすい長さに切る)
  • 豆腐……50g(さいの目に切る)
  • 味噌……大さじ1
  • 昆布だし……400ml
  • 青ねぎ……少々

作り方

  1. 鍋に昆布だしを入れて火にかけ、沸騰直前で昆布を取り出す。
  2. 豆腐を加え、1〜2分ほど軽く煮る。
  3. 火を止めてから味噌を溶き入れる。
  4. 納豆とほうれん草を加え、さっと温める。
  5. 器に盛り、仕上げに刻んだ青ねぎを散らす。

このお味噌汁は温和で消化によく、脾胃を養い、肺を潤して熱を鎮め、肝脾の働きを調和してくれます。秋に脾の虚弱や湿気の停滞、肝気の滞りを感じやすい方にとって、理想的な養生スープです。朝晩に一杯ずついただけば、体の基盤を守り、乾燥や湿気、寒暖差が入り混じる秋を元気に乗り切る助けとなります。

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