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「雀大水に入って蛤となる」——寒露にあらわれる自然の変化と貝の季節

秋分が過ぎると、季節は寒露(かんろ)を迎えます。これは10月8日から22日ごろまでの15日間で、深まる秋を象徴する節気です。秋の最後の月のはじめにあたるこの時期は、朝晩の冷え込みが強まり、露も冷たく、空気の中に「冷たさ」と「静けさ」が増してきます。自然界では陽のエネルギーが弱まり、陰のエネルギーが強くなる——いわば、「陽が潜む」時期です。この陰陽の変化を感じ取り、食事や生活のリズムを調整することで、体調を整えることができます。

昔の人は、自然界の動物や植物の様子を見て季節の移り変わりを知りました。これを「物候」といいます。古代では、陰と陽のエネルギーの変化を観察し、一年を二十四節気に分けていました。そして一つの節気をさらに三つの「候」に分けます。一候は五日間で、つまり五日ごとに自然の気の流れが少しずつ変わる、という考え方です。三候で十五日になり、これが一つの節気を形づくっています。

寒露の三候は次の通りです。

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立冬は肺が弱まり腎が冷えやすい季節。今年は金気が不足し肺の働きが乱れやすいため、五臓の調和が重要です。白菜や豚肉を使った温かい料理で脾と腎を温め、気血の巡りを整えましょう。
秋冬は湿気と乾燥が重なり、脾胃と肺が弱りやすく便秘が増える季節。セロリは気の巡りを促し、エリンギは腸を潤し、牛肉は胃腸を温める食材。三つを組み合わせることで、気血が整い、自然な排便リズムが戻ります。
シソは胃腸を整え、体を温め、風邪や寒さから身を守る力を高めます。特に朝に食べると、体の陽気が自然に立ち上がり、秋冬の風邪予防に効果的。朝食に取り入れたい伝統の養生法です。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。