マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、2011年6月13日にロンドンで開催されたワクチンと予防接種のための世界同盟会議で講演した(Paul Hackett/AFP/Getty Images)

マイクロソフト創業者 国連に気候対策より医療支援を優先するよう要請

ビル・ゲイツ氏は国連に対し、気候目標に対する「終末論的な見方」から大きく転換し、貧困の削減とワクチンへの資金拠出を優先する「戦略的な方向転換」を行うよう求めた。10月28日の円卓会議で、ゲイツ氏は記者団に「マラリアを根絶するか、気温の0.1度上昇を避けるかの選択を迫られたなら、私は気温が0.1度上がることを容認してでもマラリアをなくす方を選ぶ。人々は現在すでに存在する苦しみを理解していない」と述べた。

マラリアは、蚊を媒介として広がる感染症で、HIV/AIDS、結核と並ぶ、三大感染症の一つ。アフリカや南アジアなど熱帯地域で毎年数十万人が死亡している。

マイクロソフトの共同創業者であるゲイツ氏は、自身の70歳の誕生日に合わせて公表した17ページに及ぶ文書で、アメリカを中心とする富裕国が対外援助を削減していることにより、ワクチンの資金に影響が出ているとして、今回の方針転換は「現実的な対応」であると説明した。ゲイツ財団は、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)をはじめとする国際保健機関や各種研究プログラムへの主要な資金提供者である。

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