《荒野の中のキリスト》(1872年、イワン・クラムスコイ作/モスクワ・トレチャコフ美術館所蔵)。イエスは荒野で40日間の断食をされました。(パブリックドメイン)

「40」という数字に秘められた人生の試練とは

古今東西の物語には、特別な意味を持つ数字がいくつかあります。その中でも「40」は、最も象徴的で影響力のある数字のひとつです。聖書、伝統的な習慣、民間伝承、さらには現代社会においても、「40」は人生の試練、変化、再生の段階を表すために何度も登場します。この数字は「待機」「試練」「移行」を意味しているのです。その期間は、私たちを変化させるのに十分な長さでありながらも、終わりが見えるもので、耐え抜いた人々が変容を果たすことを可能にしています。

聖書には、このような例が数多く見られます。ノアの物語では、大洪水が40昼夜続き、堕落した世界を洗い流し、新しい契約の始まりとなりました。モーセはシナイ山で40日間断食し、神の律法を授かりました。イスラエルの民が罪を犯した後、モーセは再び彼らのために40日間断食しました。イスラエルの民は荒野で40年間放浪し、不忠な世代が去ったあとに、新しい民が約束の地へ入ることができたのです。預言者エリヤが絶望の中にあったとき、天使から与えられた食物によって力を取り戻し、40昼夜を歩き続けてホレブ山にたどり着き、そこで新たな使命を授かりました。

この法則は、新約聖書にも続いています。イエスご自身も荒野で40日間断食され、誘惑に打ち勝ち、公の宣教に備えました。復活後、昇天までの40日間、弟子たちに幾度も現れて教え導き、彼らを次の使命に備えさせました。

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