中国の社会保障制度が抱える課題
不動産危機の継続が中国経済の重しとなり、米欧の通商政策が輸出を圧迫する中、中国共産党(中共)政権は経済成長のエンジンとして国内消費にますます目を向けている。中国当局は消費を刺激するため、自動車や家電製品の「買い替え(下取り)支援」に補助金を出す政策を導入した。しかし、直近の中国共産党中央委員会の会合では、こうした一時的な刺激策だけでは限界があることを事実上認め、より根本的な「消費支出の活性化」に注力する姿勢を改めて鮮明にしている。
共産党の会議では常のことだが、今回も具体的な政策の進展というよりは、「決意の表明」や「威勢のよいスローガン」などのレトリックばかりが目立つ結果となった。しかし、一つの提案は具体的だった。それは、社会保障制度の改革によって労働者層や中産階級に安心感を与え、家計支出を促すというものだ。この改革が機能するかは不透明であり、実現には大きな障害が立ちはだかる。
中国の現在の社会保障制度が拡充と改革を必要としていることは疑いようがない。これまでの改善努力にもかかわらず、中国の制度は最貧国を除けば依然として遅れている。確かに、年金、育児手当、ひとり親支援、低所得者支援、医療保険、失業保険といった枠組みは存在する。しかし、そのカバー範囲は不十分だ。公的年金は成人人口の9割をカバーしているが、給付水準は他の先進国よりはるかに低い。また、失業保険の対象は労働人口の半分に過ぎず、労災保険に至ってはわずか15%にとどまっている。
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