習近平に近づけば近づくほど 身の危険は増す
先週、中国共産党(中共)軍内で現役最高位の将軍、張又俠上将が、突如として失脚した。これは単なる高官失脚の一例にとどまらず、世界に改めて突きつけられた現実でもある。すなわち、共産独裁体制が最も恐れるのは外部の敵ではなく、「命令に従わない身内」だということだ。
共産体制において、軍隊は国家の軍ではなく、党の軍である。さらに正確に言えば、最高指導者個人の軍隊だ。権力の座を揺るぎないものにするための鉄則はただ一つ。軍権を自らの掌中に収め、それを骨の髄まで握りしめ続けることだ。
問題は、独裁者が好んで口にする「絶対的忠誠心」が、最も検証困難な概念だという点にある。今日忠誠を誓う者が、明日には反旗を翻さないと言い切れるのか。今はスローガンを叫んでいても、裏で別の計算をしているのではないか。その結果、独裁者が絶対的忠誠を求めれば求めるほど、心の平穏からは遠ざかり、疑心暗鬼と恐怖は深まっていく。そして最終的に、粛清を繰り返すことになる。
関連記事
米中首脳会談は中国優勢との見方を覆し、米国の圧倒的勝利と分析。OpenAIの暴走騒動や米中AI開発競争の激化、米「AI軍」創設宣言が力関係を一変させ、中国を交渉の場へ追い込んだ舞台裏に迫る
中国共産党では第21回党大会に向けた人事が動き始めている。高級幹部の高齢化と世代の断層を背景に、1970年代生まれの幹部が中央委員会にどこまで進出するのか。習近平体制の人事と有力候補を分析
聖書の「バベルの塔」の物語を手がかりに、AI開発競争を考察。技術や資本の集中、共通基盤への依存、競争から取り残されることへの懸念など、現代のAI開発と物語に共通する構図を探る
習近平の訪米に合わせ、ワシントンで中国の民主活動家や香港人、台湾人、チベット人、ウイグル人らが大規模な抗議を実施。若い世代の参加や団体間の連携、越境弾圧への反発など、海外抗議運動の変化を読み解く
国家は永遠ではなくとも、先人から受け継いだ伝統文化や祈りを次代へ手渡す責務は残る。東西の古典や思想を手がかりに、国家崇拝や排外主義に陥らない健全な祖国愛のあり方と、私たちが果たすべき務めを静かに問い直す論考