レアアースのイメージ図。(STR/AFP)

なぜ中国共産党の「レアアース」カードは長続きしないのか

中国共産党は、地政学的な脅迫手段として、重要鉱物やレアアースというカードを頻繁に切るようになっている。このカードを使えば米国とその同盟国を制約できると考えているのだ。しかし専門家は、レアアースのサプライチェーンを分解してみれば、中国共産党の優位性は技術によるものではないことが分かると指摘する。

中国共産党がレアアース分野で一時的に主導権を握っているのは、主に安価な労働力、環境汚染の放置、そして、地方政府が本来企業が負担すべき環境対策費や健康被害への補償といった『負の遺産』を、長年容認・負担し続けてきた結果である。この発展モデルは、目先の利益のみを追った非効率なものであり、一時的に世界のサプライチェーンを混乱させることはできても、相手を永続的に屈服させるような戦略的ツールにはなり得ない。

米国ジャック・D・ゴードン研究所(Jack D. Gordon Institute)の研究員、葛静(Ge Jing)氏は『ザ・ディプロマット(The Diplomat)』に寄稿した最新の分析記事の中で、中国共産党のレアアースカードにはネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウム、ランタン、セリウムなどの元素が含まれていると指摘した。ガリウムは厳密にはレアアースではないが、これも重要鉱物として利用されている。

▶ 続きを読む
関連記事
不動産バブル崩壊、消費低迷、投資減速。中国経済は次の成長エンジンを見いだせるのか。専門家は、AI「DeepSeek」のような技術革新だけでは構造的な課題は解決できないと分析。さらに「最大の足かせは共産党体制そのもの」と指摘する
中国市場の低迷と地元EV勢の台頭により、VW・BMW・ベンツの販売が3割超減。内燃機関依存や若年層ニーズの変化が影響し、各社は戦略転換と製品削減を迫られている
中国の自動車ディーラーは経営圧力が強まっている。7割超の店舗が上半期の販売目標を達成できず、販売員の収入減や管理職給与ゼロの動きも伝えられている
中共が採算を度外視してまで輸出を支え続ける理由は、単なる利益ではない。雇用、外貨、過剰生産、そして世界市場での主導権という、政権維持にも関わる構造がある
中共当局は、深刻な信用リスクが生じたとして武漢衆邦銀行を1年間、公的管理下に置く。民営銀行への管理措置は初めてで、地域的な金融危機への波及も懸念されている