2026年3月22日、アラブ首長国連邦(UAE)北部ラス・アル・ハイマ沖、ホルムズ海峡付近を航行するばら積み貨物船「ベルレイ」(Getty Images/Getty Images)

ホルムズ海峡封鎖 イラン資金源遮断と中共への圧力か

トランプ大統領は12日、ホルムズ海峡周辺海域の封鎖を実施すると発表した。封鎖は米東部時間4月13日午前10時から正式に開始し、イランの港を出入りするすべての船舶が対象となる。専門家は、これはトランプ氏の切り札であり、巧みな一手だと分析している。

4月12日夜、トランプ氏は大統領専用機でアンドルーズ統合基地に到着した後、あらためて、ホルムズ海峡の封鎖を直ちに実施すると強調した。

トランプ氏は記者に対し、「明日午前10時、われわれは封鎖の実施を開始する。明日午前10時だ。他の国々も、イランが石油を売れないよう取り組んでいる」と語った。

米中央軍の声明によると、大統領の公告に基づき、米軍はイランの港に出入りするすべての海上交通に対して封鎖を実施する。対象範囲はアラビア湾とオマーン湾沿岸の各港に及び、各国の船舶を同様に扱うとしている。ただ、米側は、イラン以外の港を発着し、ホルムズ海峡を通航する船舶の航行の自由は妨げないと強調している。

この措置をめぐっては、トランプ氏がこれまで海峡の開放を主張してきたにもかかわらず、なぜ方針を転じたのかとの声も出ている。これについて、「天亮論政」の司会者である章天亮氏は、これはトランプ氏の切り札であり、イラン政権の資金源を断つ狙いがあるとの見方を示した。

アメリカ飛天大学教授で「天亮論政」司会者である章天亮氏は、「すべてのイランの船舶が出入りできなくなり、イランの輸出は全面的に封鎖される。そうなれば、イランは国内経済に依存せざるを得ない状況に追い込まれる。イラン経済の生命線は輸出に依存しているため、石油輸出が断たれれば、政権全体の資金源が断たれる。革命防衛隊の体制運営資金も含め、すべての資金源が断たれることになる」と分析した。

同時に、この一手は中国共産党(中共)の原油供給やエネルギー安全保障戦略にも打撃を与えることになる。

章天亮氏は「イランの石油の80%から90%は中国に輸出している。したがって、イランが石油を売れなくなれば、中共に対する圧力は非常に大きい。中共は、イランに対してアメリカに譲歩するよう迫らざるを得なくなる。これは外交面で中共に圧力をかける一手になる」と説明した。

さらに章氏は、トランプ氏による海峡封鎖は、イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどヨーロッパ諸国に対し、護衛活動に参加するのか、それともイラン産石油の購入を選ぶのか、立場を明確にするよう迫るものでもあると指摘した。一挙三得の効果があるとの見方を示した。

関連記事
トランプ大統領はイランとの覚書締結について、軍事衝突による世界経済危機を回避するためと説明。強硬派の批判に反論し、合意は実質的な「無条件降伏」と主張した
ホワイトハウスは、実務調整の遅れからヴァンス副大統領のスイス訪問を延期すると発表した。トランプ大統領らが署名した暫定合意(MOU)に基づき、海上封鎖は解除されたものの、今後の核交渉の先行きは不透明だ
イラン戦争の予備的和平合意を徹底検証。オバマ時代の融和策とは一線を画し、圧倒的な軍事力でイランの核野望を挫いたトランプ政権の成果を解説する。国内外の的外れも含む様々な批判を退け、真の中東情勢の地殻変動に迫る
副大統領は、時期はイラン当局者がいつ出席できるかに一部依存すると述べた。軍事封鎖解除の一方で、イランの出方を見極める米国の姿勢が焦点だ
イラン戦争と和平合意をめぐる混乱の中、著名軍事史家のビクター・デイビス・ハンソン氏は、トランプ政権の対応に対する批判にはいくつかの誤解があると指摘した