優位性から負の遺産へ ホルムズ海峡は今やイラン最大の弱点
半世紀にわたり、ホルムズ海峡はイランにとって最大の戦略兵器とみなされてきた。しかし現在、それは同国を締め付ける「首縄」と化している。エネルギー需給の構造変化により、ペルシャ湾における強制力の均衡は大きく転換した。
イランの抑止力は地理的優位に基づいていた。1980年代の「タンカー戦争」から2010年代の制裁対立に至るまで、世界の海上輸送石油の約2割、液化天然ガス(LNG)も同程度が同海峡を通過する。軍事衝突がイラン政権を脅かせば、海峡封鎖により供給が途絶し、原油価格が急騰、西側消費国、とりわけ当時世界最大の輸入国であったアメリカに打撃を与える。これが従来の構図だった。
この海峡は、テヘランにとって保険であり、最強の交渉カードでもあった。自国以外の輸送を遮断できるとの前提に立っていたが、実際には封鎖の脅しそのものが、同国の最大の弱点を露呈していた。完全封鎖がもたらす最も深刻な打撃は、イラン自身に及ぶ。
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