優位性から負の遺産へ ホルムズ海峡は今やイラン最大の弱点
半世紀にわたり、ホルムズ海峡はイランにとって最大の戦略兵器とみなされてきた。しかし現在、それは同国を締め付ける「首縄」と化している。エネルギー需給の構造変化により、ペルシャ湾における強制力の均衡は大きく転換した。
イランの抑止力は地理的優位に基づいていた。1980年代の「タンカー戦争」から2010年代の制裁対立に至るまで、世界の海上輸送石油の約2割、液化天然ガス(LNG)も同程度が同海峡を通過する。軍事衝突がイラン政権を脅かせば、海峡封鎖により供給が途絶し、原油価格が急騰、西側消費国、とりわけ当時世界最大の輸入国であったアメリカに打撃を与える。これが従来の構図だった。
この海峡は、テヘランにとって保険であり、最強の交渉カードでもあった。自国以外の輸送を遮断できるとの前提に立っていたが、実際には封鎖の脅しそのものが、同国の最大の弱点を露呈していた。完全封鎖がもたらす最も深刻な打撃は、イラン自身に及ぶ。
関連記事
先日、発表された国際戦略研究所の報告書によると、台湾問題がアジアにおいて最も危険な潜在的引火点だとし、米中が台湾問題で開戦した場合、事態は核攻撃レベルにも波及しかねないと言及。筆者は日本への影響も避けられないとしている
米国と欧州連合(EU)が中国に関税を課すなか、中国共産党政権は新たな輸出市場を模索することになる
米国はイラン戦争でミサイル備蓄の約3分の1を消耗。補充に数年を要し、日本・台湾の対中抑止に影響する可能性が指摘される
ロシア軍は戦車約1万2千両を失い、T-90Mも撃破されるなど装甲戦力が深刻に消耗。ドローンと対戦車兵器の普及により戦術は大きく変化し、戦車の役割そのものが再考を迫られている
中国による海外オンライン証券への規制強化は、香港市場の流動性を奪い、投資家の資本逃避をさらに加速させる恐れがある。インサイダーリスクや、暗号資産・大手銀行への資産避難など、広がるチャイナリスクを解説