「地盤が抜かれた後で」シリーズ 第三篇
命令なき占領 思想はいかにして指揮系統なしに統一されるか 【地盤が抜かれた後で(3)】
1930年代、イタリアの思想家グラムシはムッソリーニ政権下で投獄され、その獄中で自身の核となる思想を書き残した。
彼は「ロシア革命が成功したのは、体制を守る文化や宗教、中産階級といった『市民社会』が弱かったからだ」と考えた。 対して西欧では、労働者がどれほど搾取されていても、学校・教会・メディアなどの文化的環境によって「既存の秩序を当然のものとして受け入れる価値観」が植え付けられていたのだ。
グラムシはこの現象を「文化的覇権(ヘゲモニー)」と呼んだ。 支配階級は、警察や軍隊といった力だけで統治を維持しているわけではない。何が「常識」で、何が「普通」で、何が「当たり前」かという価値観の基準を握ることによっても、社会をコントロールしているのだ。
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