中国は次期インフルエンザ流行の原発地となるのか

【大紀元日本1月22日】インフルエンザ・ウイルス(H5N1型)はなぞに包まれて人類に恐怖を与えているウイルスです。もし、このウイルスによりインフルエンザの世界大流行を起こしたら、エイズ、9・11米国同時テロ、津波、および20世紀のすべての戦争のどれよりも、人類に甚大な被害を与えるかもしれません。ペストが14世紀に欧州の歴史を変えたように、次期のインフルエンザは今の世界歴史を変えるかもしれません(オスターホルム博士;ミネソタ大学・感染症研究対策センター主任)。多くの専門家たちは、次期のインフルエンザ大流行により、世界の3億8,000万人の生命を奪う可能性があると推測しています。この恐ろしい疫病が近づいていることを専門家たちは感じていますが、いつ、どこで起きるかはまだ分かりません。この大流行に対する防疫対策を検討する場合に、まず発生可能の地域や流行性の強さを分析する必要があります。中国農村人口8億人は厳しい衛生状況下に置かれています。これらの農村人口の多くは鴨、鶏、鵞鳥と豚を飼育していますが、家畜や家禽の防疫知識の教育をほとんど受けていませんし、政府に対する不信感が非常に強いのです。もし、中国が次期インフルエンザ大流行の原発地になったら、中共政府の一貫した隠蔽体質により、世界中の多くの人々の命を脅かすかもしれません。ワクチンは大流行の予防対策の一つと看做されていますが、現実から言えば、むしろ「精神的ワクチン」がより重要かもしれません。なぜならば、良好な精神状況は、神経を通じて、免疫機能を調節し、有効に病気の発生と進行を抑制できるからです。

1 最も脆弱な健康保険制度で、鳥インフルエンザ最前線の対応に追われる中国

中国では病院が唯一の早期警報の発信機関です。だが、調査によると、経済的な理由によって、患者の50%近くが病院に掛からず、入院すべき患者の30%が入院治療を受けることができません。医療費は一般家庭収入の10倍以上にもなっています。農村の住民で健康保険に加入している人は極めて稀です。多くの農民は病気から死ぬまで自宅で辛抱するしか方法がありません。この状況下において、病院が危険情報を察知する前に疫病の大流行がすでに始まっていた可能性がかなり高いのです。

現時点では、鳥インフルエンザに対して主に家禽が感染しているから、農業部はこれに対応しています。いつか、人間の間に感染が広がったら、始めて衛生部が動き出します。鳥から人間へ感染する中間段階に、誰も責任を持ちません。協調の欠如は、中国官僚機構の伝統的な問題です。

中国の医療制度の改革は、1985年から始まりました。20年経った今、最近、中央政府のシンクタンクである「研究開発センター」は、『中国の医療制度改革に関する評価と建議』という報告書を発表し、中国の医療制度の改革が基本的に失敗に終わったと述べています。20年の改革で、健康保険の担当が国家機関から、民間企業に移管した結果、健康保険には、都市人口の50%、農村人口の10%しか加入していませんが、医療費の支出は国内総生産の5・42%にまで達しています。保険制度の公平性と総体的な効果はともに悪化しました。2000年の調査では、医療制度の公平さと全体的効率性において、191か国の中で中国はそれぞれ188位と144位でした。医療資源は、高価の医療機器や高収入層への医療サービスに使われているから、予防、プライマリ・ケア、および一般市民に対する医療サービスの質が悪化する一方です。衛生部当局は医療機関の3分の1が正常に機能しているが、3分の1が崩壊の間際にあり、3分の1が完全に麻痺していると述べました。

中国の防疫において、もう一つの問題点は、すべての防疫措置を市場原理に任せているため、偽の鳥インフルエンザワクチンを製造、販売するケースが後を絶ちません。今まで少なくとも31件このような事件が発生しています。内モンゴル自治区のワクチン製造業者の幹部ら10人が遼寧省で偽ワクチンを販売した容疑で逮捕、起訴されました。偽ワクチン事件は東南アジア諸国にも影響を与えている可能性もあります。ベトナムは中国のワクチン業者9社からワクチンを買い付けました。

2 中国、新型インフルエンザ・ウイルスの発生源

農業部は今年、中国で31件鳥インフルエンザの感染があったと発表しました。中国の養鶏従事者は十分な教育を受けていない貧困層で、長い間に共産党当局に騙されて、政府に対する不信感が強いのです。鳥インフルエンザと戦うため、中国は8億人の農民の福祉を改善する必要に迫られています。この人たちの多くは、貧困状況を改善するために、カモ、ニワトリとガチョウを飼育しています。

世界保健機構(WHO)は、ブタがヒトとトリのインフルエンザ・ウィルスに同時に感染して、ウイルスの混合によって、人間に感染しやすい新型ウイルスの生成を恐れています。実際は、中国では、2002年から03年にすでに豚から高病原性のH5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスを検出したことが報告されています。だが、中国農業部は今年初め、家禽とブタからのサンプル110万件を調査した結果、ブタから何も発見しなかったという人を驚かせる発表がありました。歴史上から見れば、ブタはインフルエンザ大流行に重要な役を演じる可能性があります。1918年のスペイン風邪もそうでした。

北京当局はウイルス対策を改善するかもしれませんが、地方政府や養鶏業者は必ずしも政府の指示に従うことにならないかも知れません。数多くの放し飼いしているニワトリの管理は、それほど簡単なことではありません。

『2000年世界保健機構(WHO)白書』では、調査対象191カ国の内、中国は医療制度の経済的公平性で188位、全体的な効率性で144位でした。中国では、医療費に1年に1人あたり20米ドルしか使っていません。そのうち5米ドルしか公共の財源として充当されていません。医療費は国民総生産の2・7%で、世界の7位にランクされています。

専門家は「予防措置の効率性は公衆衛生教育に関わっており、同時に政府の情報公開も非常に重要なことである」と述べています。北京当局は国民を信じていないため、真実の情報を隠蔽しています。これは、流行性の病気が繰り返し発生することに繋がっていると考えられています。

「中央が関与するようになった割に、地方にその能力と意志が欠けている現状は、中国にとって難題」とヤンツォン・ホワン氏(ジョンC.ホワイトヘッド外交外務学校の公衆衛生専門家)が述べました。

3 中国南部、インフルエンザの世界大流行の原発地

人口密度が高く動物の売買が盛んな中国南部は過去インフルエンザ原発地となってきました。インフルエンザの流行は常にアジア、特に中国南部から発生することが明らかにされています。この地区は稲作、養鶏、養豚が盛んです。歴史上の記録では、多くのインフルエンザ流行の起源地は、中国南部とその関連地域です。それらインフルエンザ流行には、H2N2型(1975)、H3N1型(1968)、H5N1型(1977)、H9N2型(1997)、H5N1型(2003-4)です。1918年に大流行したスペイン風邪も、中国南部からのものでした。

4 最悪の環境問題を抱える中国

免疫毒理学は、毒理学の比較的新しい分野です。免疫毒理学の研究により、さまざまな化学的な環境有害因子は、生体免疫機能に対する影響を解明しつつあります。

『改革開放』という中共政策のため、過去数十年の中国における経済成長は、天然資源の消耗、厳重な公害問題を起こしています。国土資源部の副部長・パンユエ氏は、今年始めのインタビューにおいて、奇跡的な経済成長は厳しい結末を迎えると予測しました。世界の公害都市ワースト20の内、16都市は中国です。中国の川と湖全体の3分の2以上は汚水溝に変わっています。最近の事故の前でさえ、松花江は清潔と言えるような水ではありませんでした。それで、3億6000万人以上が水道水を安心して利用できなくなりました。汚染物が水路に流れ込み、沿岸の人々は癌に罹って死亡しています。

先に述べたように、環境有害因子は免疫系の機能を抑制します。免疫系がよく機能すれば、宿主は機能的な免疫反応を起こし、感染を予防できます。SARSや重症インフルエンザも免疫調節不全を起こします。免疫抑制によってウイルスの拡散が生じやすくなります。例えば、シンガポールのSARS感染者の中100人は、実際に香港でウイルスに感染した1人の客室乗務員から感染した人ばかりです。インフルエンザの初期に、症状が非常に軽いから、診断が遅れ、このような患者は、免疫機能が低下した人への感染源になる可能性が高いのです。

5 社会的ストレスと免疫

免疫機能に対する影響は、環境有害因子だけではありません。心理的ストレスも免疫機能を低下させる重要な原因です。現在の中国社会には、不安要因はたくさんあります。例えば、官僚の腐敗、秩序の欠如、環境の汚染、人権侵害など。2004年だけで、政府は300万人以上の人が参加し、70,000件以上の抗議活動があったと記録しています。

免疫系は、生体反応としてそれらの社会的有害因子によって妨害されることもあります。したがって、SARS(2002年~03年)、インフルエンザ(2003、04年~05年)のような伝染病は中国でより多く見られるようになりました。

髄膜炎(2004年)、連鎖球菌(05年)と炭疽菌(05年)。コレラ、狂犬病、デング熱、肺炎、ペスト、流行性脳脊髄膜炎、マラリアは、中国で近年頻繁に報告されました。国内のエイズ専門家は、国には即効性のある対策がなく瀬戸際に立たされているという厳しい警告を発しました。

ストレスが免疫機能に影響を及ぼして、体が病気に罹りやすくなることはよく知られています。心理的な要因は、さまざまな面から免疫機能に悪影響を与えています。大脳は、視床下部-下垂体-副腎(HPA)の伝達系を通じて免疫機能を調節し、さらに自律神経の働きにも影響を与えています。

ポジティブな精神的因子は、免疫系を調整することで重要な役割を演じ、バランスのよい免疫応答は治癒に良い影響を与えます。中国社会の精神的重圧と社会緊張は、視床下部-下垂体-副腎(HPA)の伝達系を乱して、生体の防御システムを弱めて、破壊する働きをしています。

6 世界規模の疫病大流行のきっかけとなる中共の情報隠蔽

11月13日の吉林省の爆発事故により、毒物のベンゼン100トンが松花江に流れ込みました。北京当局は当初の二、三日中に対応策を講ぜず、地方当局は飲料水の汚染を隠蔽しようとしました。中国の隠蔽体質から見れば、松花江流出事故のような災害が起こり続けても、SARSと鳥インフルエンザのように隠し続ける可能性を示唆しています。

米国タイム誌が「SARS医師」と名づけたチャン・ヤンヨン博士は、SARSの発生を告発することにより、多くの命を救ったと主張しました。中国は2003年、SARSウイルスの隠蔽後、当局は責任者を解職して見せしめにしました。しかし、中国当局筋に情報公開と説明責任を求めるのは、まだ期待できません。タイム誌がウィルス・ハンターと名づけたイ・グウァン博士は、中国南部での鳥インフルエンザ流行を国際メデイアに伝えたために、国家機密漏洩罪と糾弾されました。最近、中国衛生当局のカオ氏は記者会見でSARS隠蔽を否定し、隠蔽工作を行政仕事のミスとしました。

2005年5月初旬の青海における鳥インフルエンザの死亡例は、中国隠蔽工作の一例です。中国の最初のレポートでは、5月初旬に青海湖で死亡したガチョウは178羽でした。後に発表された中国の公式報告の推計では、発生は4月15日で、死亡した鳥は5種目、519羽に上りました。しかし、最新の非公式報告では、死亡した鳥は8000羽以上です。かつ中国は死亡した鳥からウイルス研究サンプル収集も許されなかった。中国はこれらの情報を他の国とも共有しませんでした。本来なら青海湖から標本を採取すべきだが、中国は、死亡した12羽の標本を集めたにすぎませんでした。ガチョウ10羽、黒頭カモメ1羽と茶頭カモメ1羽だけでした。

中国当局の文書資料から、中国には隠蔽工作をやめようとする意思がありません。新疆維吾爾自治区の公式文書では、鳥インフルエンザに罹患した人間の死体は24時間以内に焼却されなければなりません。そして、個人が政府の許可なく鳥インフルエンザに関する情報を発表することは厳しく禁止されています。

中共当局の情報隠蔽を非難する声が徐々に高くなってきました。だが、中共当局は依然松花江の汚染事故を隠そうとしています。中共の隠蔽工作の裏には何があるのか?そして松花江の事故は避けられたはずである人災ではなかったのか?と考えざるをえません。100トンのベンゼンは川の上流の土地汚染を起こすことをいうまでもなく、下流のハルビン市民数百万人の飲料水を奪っても、まだ隠そうとしていました。こう見れば、中共当局から正確な情報をえるのは、不可能としかいえません。中共政府が世界を騙しているのは、隠蔽工作に秀でているという理由だけではありません。中国国民は情報を封鎖され、北京当局を盲目的に信じています。これが北京当局が情報操作をし易くする温床となっています。