【大紀元日本9月3日】モンゴルの草原にタルバガン(リス科:モンゴルマーモット)がいます。体長50センチばかりで草食性、群れをなし、長さ2メートル位の巣穴を掘って棲んでいます。
食用にすると美味しく、タルバガン狩りをするモンゴル人は、長い耳のついた狐のような帽子をかぶり、ゆさゆさ振るおとりの毛玉を先にぶら下げた棒を片手に持ち、狐のしぐさを真似た踊りで巣穴に逃げ隠れたタルバガンを上手に誘い出します。
一旦は逃げ隠れたタルバガンですが、外の様子が気になって巣穴から顔を出し、きょろきょろと辺りを見回すと、向こうの方で何やら「変な?」ものが動いていますので、興味津々とさらによく見ようと、巣穴の上できょとんと立ち上がるのです。立ち上がってじっとしていますので、鉄砲や弓で射抜かれる格好の標的となってしまいます。
犬のシッポは喜ぶと打ち振り、恐れると丸めてしまう喜怒哀楽の感覚器官ですが、猫のシッポは怒っても喜んでも真っ直ぐに立てています。どちらかというとタルバガンは猫的な性向があるのかもしれません。ただし、タルバガンは体全体がシッポであるかのような行動をとってしまうのです。「好奇心に動かされる」と身の危険を顧みずに、体をシッポのように直立させて目立たせてしまう習性は、何もタルバガンのせいではありません。草原の上に輝く太陽の知恵がモンゴル人の食生活のために、タルバガンの体をシッポのような感覚器官に作り変えてしまったのだと私は思っています。でなければ、モンゴル人のために、こうも簡単に狩り取られてしまうはずはありません。
しかし、こうした伝統的な狩猟方法には、太陽の知恵と大地の恵みのリサイクルが組み込まれています。作法どおりに猟をすることによって、立ち上がったタルバガンがオスかメスか子どもなのかを見分けて選り分け、生活に必要なだけのオスを狩り取るという自然の掟を守ることができるからです。しかし近年、現金収入を得る手段として、手っ取り早く「罠を仕掛けて」タルバガン狩りが行われるようになると、妊娠中のメスやオスや子どもの区別なく乱獲されることになり、大地の恵みとしてのタルバガンの生態サイクルが壊れるという悲劇が各地で起こっています。それはとりもなおさず、草原の太陽がモンゴル人に贈った「知恵のリング(輪)=タルバガン」が、失われつつあるということを意味しています。
さて、モンゴルの愛嬌者タルバガンは意外にも、1998年から日本で大活躍しています。次回その2は、喉歌ユニット『タルバガン』を追ってみます。お楽しみに・・・
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。