【季節のテーブル】忘年会の「忘れ物」
【大紀元日本12月27日】忘年会の起源は、よく分かっていません。夏目漱石の小説『我輩は猫である』に、忘年会という言葉が出てきます。サラリーマンならずとも、我輩は「忘年会である」というくらい、忙しい師走に向かいます。
忘年会は無礼講がルールですが、ハメを外し過ぎると後悔します。無礼講は秩序を混沌に返し、スタートラインの状態に戻ることです。象徴的に「王様が乞食になり、乞食が王様」になることです。あべこべの世界をこの世に持ち込んで、この世の秩序を転倒させて、穢れをはらいます。穢れは気(け)枯れのことです。
溜め込んだ日常生活の気枯れを祓うため、共同体は晴れの日をガス抜きとして、用意しています。祭りやドンチャン騒ぎや、晴れ着を着ることなどです。ハレとケガレを交代させることで、この世の秩序を活性化させます。
忘年会では、普段よりお酒を沢山飲みます。ケガレ(曇り)の状態を、ハレ(晴れ)へとお酒の馬鹿力を借りて転換します。いわゆる憂さ晴らしです。ギリシャ神話ではバッカス(酒神)が、人類にお酒の造り方を教えます。お酒を飲むと神々を忘れます。その結果自分自身の世界に、人類は没頭するようになりました。時代が下り自分を忘れるために、お酒が飲まれます。
忘年会の季節は、酔っ払った人の忘れ物で一杯になります。カバンや帽子や身分証を紛失したりします。忘年会の「忘れ物」が何であるのか?今年を振り返り、お年玉を静粛に頂戴しましょう。
(イザヤ・パンダさん)
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