中国は世界の工場か、「ごみ箱」か?
【大紀元日本12月28日】中国の世界貿易機構(WTO)加盟から5年が経過するが、その高速な経済発展を賞賛する世情の評価とは裏腹に、米国の中国経済専門家は、5年来の急速な経済成長により、中国が世界の工場からごみ箱に転じたと指摘した。
米カリフォルニア州立大学・米中政策研究センター主任の郭蘇建教授によると、中国はWTOに加盟してからここ五年で、世界の工場が転じて世界のごみ箱となったと指摘、「中国は、世界の工場として何でも生産してきたが、技術面を良く掌握してこなかったために、長期的な生産においては不利であり、世界のごみ箱になってしまった。中国の環境汚染は極めて深刻であり、中国河川の70%は汚染されており、国民20%の生活は公害の中にある」と述べた。
国際連合の環境統計報告によると、全地球規模で排出される電子機器の廃棄物は、毎年2000万トンから5000万トンに及ぶが、8割はアジアに運ばれ、その9割は中国に遺棄される。ここ数年、中国は毎年、世界の電子機器廃棄物の7割を収容している。
北京「市場報」によると、急速な経済発展のために、中国の電子機器廃棄物は、毎年5%から10%ずつ増加している。専門家が指摘しているように、電子機器廃棄物の中には、多量の鉛、錫などの有害物質が含まれているため、適切な処理をしなければ深刻な汚染を引き起こす。
中国科学院の孫鉄珩氏によると、中国大陸では鉛などの有害物質に汚染された耕地面積が、2000万平方キロメートルあり、総耕地面積の約20%を占め、その大部分が経済発展地区だ。土壌汚染は、食品の品質低下を恒常的に招いている。関係部署の計算では、中国の毎年における重金属汚染は、食糧1000万トンに及び、経済損失は200億元に達している。
中国国家環境保護局は12月21日、ここ三期の環境状況について報告した。副局長の張力軍氏によると、中国の都市48・1%が中・重度の空気汚染であるという。その内、蘭州、大同、臨汾、ウルムチ、北京など重点都市11箇所では、大気中の汚染物質が3割以上増加し、国民1500万人以上に身体的・精神的な問題が生じている。
同報告では、観測の結果、中国大陸の7大水系中、長江支流は軽程度の汚染であったが、黄河と松花河支流は重度汚染、淮河、海河流域は深刻な汚染であった。保護局の分析によると、経済GDPの急速な発展が、汚染物質を排出した主要な原因で、中国各地では、急速な経済発展が引き起こした環境汚染が報じられている。
中国は、その5000年ともいえる歴史に培われた中華文明により、全国各地に貴重な文物が残されていたはずであり、本来は世界からの観光客を受け入れる、「観光立国」としての経済活動が約束されていたが、泰山の「孔子の里」でも見られるように、中共当局による文化大革命により種々の文化遺産が無残に破壊されてしまい、その観光資源を損なってしまった。こういったことも、後に中国が「世界の工場」として、あくせく働かなくてはいけいない要因と状況を造ってしまった。
中国は急速な経済成長を保持するため、国内需給を拡大する必要があり、中共中央工作会議もここに2007年の重点を置いているが、効果ははかばかしくない。中国一般大衆の消費が消極的なのは、高額な住宅ローンに縛られているのと社会保障が不備であるために短期的な消費が抑えられているためだ。カナダで国際商業を専門とする蘇展教授によると、住居、医療、子弟教育、老人介護などで大多数の中国人は経済的な圧迫感があり、将来的な大口の支出に備えて備蓄に走っているという。
同時に中国は、ここ5年来で知的財産権保護の問題を抱えて、改善の兆しもなく、廉価なコピー商品、偽ブランド商品を売りまくり、世界の貿易パートナーにとって愁眉の的となっている。これは、国内の技術革新・技術開発に影響を与えるばかりでなく、外国のハイテク技術が中国に入ってこなくなる要因にもなっている。