「邯鄲(かんたん)の夢」枕

【大紀元日本9月8日】唐の玄宗の時代。河北省・邯鄲(かんたん)の町での不思議なお話。百姓・盧生(ろせい)はその名のとおり、粗末な家=盧(いおり)で生を営んでいた。30歳になった盧生は、黒い馬に乗り旅に出かけた。通りかかった邯鄲の茶店で、ただ生きているだけの今生(こんじょう)の境遇に嘆息をついた。立身出世の欲望を抱いて悶々としていた。その嘆息を傍で聴きつけた道士・呂翁(りょおう)が、盧生に枕を奨める。

これが邯鄲の夢枕。盧生の「欲望=栄耀栄華」の夢を叶えさせる、両端に孔(あな)のある陶器製の枕。枕にすると孔がみるみる大きく開いて、盧生の眠りはその中に飲み込まれた。枕の中の空洞は、人類と宇宙の過去を記憶し、現在を記述し、未来の事象を封じ込めたアーカイブ=記録庫。そこには盧生の過去世・今生・未来の転生も記されているはず。

邯鄲の夢は、唐代作家・沈既済の「枕中記(ちんちゅうき)」にある物語り。枕の中での出来事に嘘偽りはない。天地が検分精査した個人の歴史が漏れなく、そのままに記されるからである。盧生は3段落の栄枯盛衰の夢をみる。

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