臓器移植数世界2位 提供源に根強い疑惑=中国

【大紀元日本8月30日】8月25日、中国衛生部が主催したシンポジウム「全国人体臓器提供会議」が上海で開かれ、中国における臓器移植件数が年間1万1千件に達し、世界第2位になったと公表された。同会議での報告によると、2003年から今年5月までの6年間で、一般市民からの臓器提供はわずか130例。移植数とドナー数との格差について、中国当局は65%が「死刑囚である」としているが、移植ネットワークが確立されておらず、規制のゆるい中国では、病院と司法関係者が囚人から摘出した臓器を利用し、違法な臓器売買に関与する可能性が高いと専門家は指摘している。また海外の調査では、中国国内で弾圧されている法輪功学習者が臓器の出所だと主張する専門家もいる。

国営メディア「新華社」によると、8月25日、上海で開かれた、天津、上海など10の省・市で臓器ドナーシステムの設立を推進する全国人体臓器提供会議において、「中華医学会臓器移植学会」の副主任委員・陳忠華氏が、臓器移植の総数は年間1万1千件に達しているが、臓器移植手術を必要とする年間150万人の患者数には遥かに対応できないと発言した。中国国内において2003年から今年5月までの6年間で、本人の遺志で臓器を提供したドナーは、わずか130人に留まっており、全国でドナーバンクを普及させるよう促した。

一方、ドナー数と臓器移植件数の格差について、中国衛生部(厚生省に相当)の副部長・黄潔夫氏は同会議で、中国の臓器移植の提供源の65%は死刑囚であると説明した。

上海市華山医院移植部の銭建民主任は、以前、中国英字紙「チャイナ・デイリー」の取材に応じ、死刑囚を対象とした臓器摘出は、ドナーの同意がないまま行われることが多いと発言している。また同主任は、病院と司法機関が癒着し、死刑囚の臓器売買に絡む汚職問題が生じやすいと話している。

事実、国際社会で発覚した臓器の闇取引は、中国からのケースが多くを占めている。米連邦捜査局(FBI) は7月23日、ニュージャージー州で、汚職とマネーロンダリングの大規模な取締りを行ない、市長や議員など44人を逮捕した。米メディアの報道によれば、一部の逮捕者が、違法な臓器闇取引に加担していたことが判明。そのうちのひとり、イスラエル人仲介業者は、中国から仕入れた1万ドルの腎臓を、16万ドルで臓器移植患者に販売したと供述している。

提供源に根強い疑惑

「臓器提供源は死刑囚」と説明する中国当局に対し、国連拷問問題の特別調査官マンフレット・ノーワック(Manfred Nowak)氏はかつて、「臓器の主な提供者は死刑囚であるという説明は、説得力に欠ける。仮に本当であるならば、死刑囚の数はこれまでの外部推定より遥かに多いはず」という見解を示している。

国際団体「法輪功迫害国際調査連盟」(CIPFG)の調査によれば、2000年以降、中国国内での臓器移植数は急激に増加している。患者の待機日数が極端に短いことや、ドナーと死刑囚だけでは賄えない程の大量の移植件数から、中国国内には生きた人間による厖大な「臓器提供バンク」が存在すると同調査団は指摘している。

前述のノーワック氏は、2005年11月、中国での拷問に関する調査報告2部を国連人権委員会に提出している。報告書には「(法輪功)学習者たちは、心不全を起こす薬物を注射され、臓器を摘出されている間あるいはその後に殺害される」と記述されている。法輪功学習者は、拷問被害者の約3分の2を占めているとノーワック氏は指摘。実際、中国当局が1999年に気功団体法輪功を弾圧して以来、強制労働収容所に監禁されている人の大多数は法輪功学習者なので、被害者の割合としては十分納得できる。

カナダの国際人権派弁護士デービッド・マタス氏とカナダ外務省前アジア大平洋州局長デービッド・キルガー氏は、2006年、臓器移植患者のために、法輪功学習者が「臓器狩り」の対象になっているとの告発を受け、独立した調査を行い、調査報告書を発表している。同報告書によると、中国国内における2001年から2005年までの臓器移植件数のうち、4万1千5百件の臓器の出所が不明としている。2000年以降、中国では臓器移植件数が急激に伸びているが、これは法輪功学習者への弾圧が始まった時期とほぼ一致しているという。同報告書は、監禁された法輪功学習者たちの証言から、彼らが臓器売買の犠牲になっていると主張している。

(翻訳編集・叶子)

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