カナダ情報機関の高官はこのほど、ブリティッシュ・コロンビア州グレーターバンクーバー地区の現職市長や議員らと会談し、外国勢力による地方選への影響力行使を警告した。同州議会選挙は10月15日に控えている。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)27日付によると、会談に参加したバンクーバー市のケネディ・スチュワート(Kennedy Stewart)市長は「安全情報局の一部の高官と中国問題専門家らが2時間かけて私たちに、外国政府による選挙への介入について説明を行った」と報道陣に語った。市長は、情報機関が地方政府に直接警告するのは異例だとした。
グレーターバンクーバー地区リッチモンド市などの政府幹部も、安全情報局の高官と会談したことを明らかにした。
カナダの情報機関が昨年末に発表した報告書は、中国が同年9月の総選挙に介入したと指摘した。
過去にバンクーバー市長選に立候補した中国出身のミーネ・ウォン(Meena Wong)氏は、外国政府が地方政府の政治家に狙いを定めていることに危機感を覚えているとRFAに語った。
「バンクーバー市の元市長らは皆、ブリティッシュ・コロンビア州知事に当選した。市長が外国勢力の影響下に置かれれば、カナダは将来、外国政府の支配下になるだろう」
新民主党の党首ジャグメート・シン(Jagmeet Singh)氏は、「中国政府はカナダの地方でより多くの支持を得ようと考えている。両国の関係が悪化したとき、地方の政治家は連邦政府の外交・経済政策などに異議を唱えることができるからだ」と述べた。
近年、新疆政策を巡りカナダ政府は中国への批判を強めている。中国政府の高官と距離を置くようになった政治家もいる。
いっぽう、中国系住民が最も多いリッチモンド市のマルコム・ブロディ(Malcolm Brodie)市長は先週、バンクーバー市のホテルで開催された香港の中国本土返還25周年を祝うイベントに出席した。ホテルの外で抗議活動に参加した香港出身の市民らは、「市長はカナダの国民であり、その給料がわれわれの税金で賄われているのに、なぜ中国共産党の肩を持つのか」と怒りをあらわにした。
ブロディ市長は、同イベントはリッチモンド市の文化と多様性を紹介するイベントの1つであり「市長や市議員は皆参加する」と話した。
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