米議会報告 中共が野心実現のため国連を操る

2026/03/23 更新: 2026/03/23

米連邦下院はこのほど、「中国が国連を再構築する戦略の内幕(Inside China’s Strategy to Reshape the United Nations)」と題する調査報告書を公表し、中国共産党(中共)当局が国連での影響力を利用してアメリカの利益を損ない、国際的な影響力拡大を図っている実態を明らかにした。

3月20日に公表した報告書は、中共が自らの戦略的目標を達成するために国連を操っていると指摘した。これは国連そのものを損なうだけでなく、アメリカの利益や価値観も損なっているとしている。

報告書によると、中共は国連への財政拠出を増やすことで政治的譲歩を引き出し、組織の方向性を自らに有利な形へと変えている。

さらに、中共が負担する国連予算の割合は2006年の2%から2026年には20%へと拡大し、アメリカの22%に次ぐ規模となった。一方で、中共は資金拠出を意図的に遅らせることで、2023年にはスーダンなどに対する人権調査を阻止した。加えて、1ドルの拠出に対して国際農業開発基金では3.51ドルの優遇融資を受けているという。また、経済的・戦略的利益が見込まれる国連平和維持活動にも自国の部隊を派遣している。

また、2021年時点で、中共はすでに国連の15の専門機関のうち4機関で、自国出身者をトップに就けることに成功した。さらに、国連における中国籍の職員数は、2023年には1664人に達している。

北京で弁護士を務めた賴建平氏は、中共が統治の正当性の不足を自覚しているため、国内外のあらゆる分野で浸透と統制を図り、自らを美化し、政策を正当化する一方で、敵対者を中傷しようとしていると分析した。

賴氏は「一つは公然とした形で機関に資金援助を行うことだ。つまり多額の資金で支持を取り込む方法だ。もう一つは水面下のルートで、個人に対する贈賄や浸透、取り込みだ」と述べた。

さらに、中共が一部の国々と結託して国連機関をコントロールしているとも指摘した。国連人権理事会にはイランやベネズエラ、キューバなど人権状況が深刻な国々も加盟している。これにより、同理事会は中共の人権弾圧を隠蔽するための隠れ蓑となり、見せかけの平穏を装うための共犯者になっているとした。

賴氏は「中共はこの分野で老獪(ろうかい・経験を積んで悪賢いこと)さを極めている。資金力や能力、経験を備え、歴史的にも浸透工作やスパイ活動を得意としてきた。そのため国連システム内でも強い影響力を行使している」と語った。

報告書はまた、中共が人事配置を通じて国連の意思決定や運営の在り方に影響を及ぼし、自らの国家戦略を支えていると分析している。

具体例として、国連食糧農業機関の屈冬玉事務局長、国連経済社会局の呉紅波元副事務総長、国際民間航空機関の柳芳元事務局長などを挙げ、中共のイデオロギーが国連に持ち込まれ、公平性が損なわれているとした。さらに、政府の統制下にある非政府組織(NGO)を利用し、統一戦線工作を展開しているとも指摘した。

台湾の国防安全研究者、沈明室氏は、トランプ大統領がWHOなどからの脱退を進めた理由について、アメリカが多額の資金を拠出しても効果が得られないためだと説明した。その背景には、国連が中共やロシアの浸透を受け、グローバルサウス諸国を主導し、地域の安全保障に影響を及ぼしている現状があるとした。自国民を弾圧する独裁国家への制裁も、国連では成立しない状況にあるという。

沈氏は「今回の報告書は、これまで表面化していた問題を体系的に取りまとめ、公表したものだ。これにより、トランプ政権が国連機関から離脱する正当性を米政府や国民に認識させる狙いがある。つまり国連が浸透されており、アメリカの影響力も大きく制限されている」と述べた。

さらに、この議会報告書はアメリカ政府に対し、国連が憲章の基本原則に立ち返るよう働きかけを続けること、国連体制の責任を追及すること、中国の「開発途上国」扱いを見直すことなど、複数の政策提言を示している。

沈氏はまた、「ロシアとウクライナの戦争など多くの紛争を見れば、国連安保理は十分に機能していないことが分かる。最大の要因は、5つの常任理事国が持つ拒否権により、国連が多くの議題を扱う際に5か国の意向に左右されることだ」と指摘した。

さらに、常任理事国の拒否権が国連の機能不全を招いている一方、アメリカを中心とする新たな枠組みが国際秩序の回復に向け、一定の役割を果たしつつあるとの見方を示した。

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