米大学 中共国防産業関係者1500人を育成か 報告書が指摘

2026/06/26 更新: 2026/06/26

米中西部ミズーリ州のミズーリ州立大学が、MBAおよびエグゼクティブMBAプログラムを通じ、中国共産党(中共)の国有企業幹部や政府関係者を長年にわたり受け入れ、その中に国防産業に関わる人物も含まれていたとする報告書が公表された。

地政学リスクを調査するStrategy Risksは24日、「Heartland for Hire」と題する報告書を発表した。報告書によると、同プログラムは2001年から運営され、これまでに中共の国有企業幹部や政府関係者ら1500人以上を受け入れてきた。参加者の中には、中共の国防産業と直接関係する人物も含まれていたという。

報告書は、修了生の中に中国航空工業集団有限公司などの企業幹部が含まれていたと指摘している。AVICは中国最大級の国有航空宇宙・国防企業グループで、米国防総省により制裁や投資規制の対象とされている。

報告書が特に問題視しているのは、参加者の人選を主導していたのが大学側ではなく、中共側だったとみられる点だ。中共の政府文書では、この協力関係は「米中の州対州協力プロジェクト」と位置づけられていた。参加者の募集や選抜は、主に中共政府機関、国有企業、中共関連組織が担っており、大学の通常の入学選考とは異なる形で行われていたという。

報告書の著者らは、米議会や行政府がこれまで米大学と中共との関係をめぐって注視してきたのは、主にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の研究窃取、中国人学生の言論の自由、軍関係の経歴を持つ大学院生による国防関連博士課程への参加などだったと指摘する。一方で、こうした「幹部研修」型のプログラムは、監督の枠組みから抜け落ちていたとしている。

報告書は、「われわれが確認したのは、中共の国家機関が、アメリカの公立大学、学位制度、そしてアメリカ納税者の資金が使われた可能性のある仕組みを利用し、中共の国防産業における管理能力と技術力を高めていたという構図だ」と述べている。

また、募集資料からは、プログラム費用の一部が米政府またはミズーリ州の補助金で支えられていた可能性がうかがえるとし、その総額は数千万ドルに上る可能性があると指摘した。ただし報告書は、納税者資金の流れを完全に裏付ける公開記録は確認されていないとも認めている。

ミズーリ州立大学の反論

ミズーリ州立大学は関連する問い合わせに対し、報告書の内容は把握しているとしたうえで、同プログラムに納税者資金を使ったとの指摘を強く否定した。

同大学の広報担当者は、学生が学んでいたのは「通常のビジネス課程」だと説明した。また、スパイ行為や知的財産の不正取得、不適切行為、ハラスメントに関する苦情は確認されておらず、すべての学生は米国務省のビザ規定に従う必要があったと強調した。

大学側は、「報告書自体も認めているように、不正行為を示す証拠はない」と主張している。一方、報告書の著者らは、従来のスパイ活動や機密窃取が確認されていなくても、こうした研修は中共の国防体制における管理能力を強化する可能性があり、国家安全保障上の懸念になり得るとしている。

報告書はさらに、一部の修了生がその後、アメリカの制裁対象となった企業に勤務していたとも指摘した。例として、中国のAI企業・科大訊飛の副総裁や、国有企業の中国兵器装備集団有限公司傘下にある重慶建設工業有限責任公司の上級幹部などを挙げている。

アメリカの大学と中共機関との関係をめぐる懸念は、今回に限ったものではない。近年、米議会では、中共当局が学術交流を通じて機微技術や人材にアクセスしているとの警戒感が強まっている。

米下院の「中国問題特別委員会」はこれまで、複数の有力大学と中国国家留学基金管理委員会との協力関係や、中共軍関係者のアメリカ留学の実態について調査してきた。昨年末には、Strategy Risksと人権財団が公表した別の報告書で、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、ハーバード大学などの名門校と中国のAI研究機関との協力関係も指摘された。

今月には、米テキサス州選出のパット・ファロン下院議員が「スパイ防止法案」を提出した。同法案は、中共関連機関と関係を維持する大学に対し、連邦資金の受給を制限することを狙ったものだ。

一方、トランプ米大統領は以前、中共の影響力には警戒を示しつつも、中国人学生のアメリカ留学を全面的に禁止することには反対する考えを示している。

報告書は、ミズーリ州立大学をめぐる今回の事例について、アメリカの監督体制に空白があることを示すものだと指摘している。

Strategy Risksは、この報告書について、ミズーリ州立大学と中国とのすべての関係を包括的に検証したものではなく、同大学の対応を一方的に非難するものでもないと説明している。目的は、これまで十分に審査されてこなかった特定の研修プログラムに光を当て、今後の調査や情報提供につなげることにあるとしている。

李皓月
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