米国 外国製の新型ロボットを規制 中国企業の海外展開に打撃か

2026/07/30 更新: 2026/07/30

トランプ政権は7月28日、外国製の新型ロボットや電源インバーターを対象とする新たな輸入規制を発表した。世界展開を進める中国の人型ロボット企業に打撃となる可能性があり、米中の技術分野を巡る対立が一段と激しくなっている。

米連邦通信委員会(FCC)は同日、外国で製造された「先進ロボット機器」を、国家安全保障上の懸念がある通信機器などを掲載する「対象機器リスト(Covered List)」に追加した。

これにより、対象となる新型ロボットは、アメリカへの輸出や米国内での販売に必要な認証を新たに取得できなくなる。

規制の対象には、新型の人型ロボットや四足歩行ロボット、通信機能を備えた各種の移動型ロボットが含まれる。FCCは、サプライチェーン上の脆弱性やサイバーセキュリティー上の脅威を理由に挙げている。すでに認証を受けている機種は、現時点では対象外となる。

調査会社カウンターポイント・リサーチによると、昨年、世界で導入された人型ロボットのうち、中国企業製が70%近くを占めた。今回の規制は、中国のロボット企業に大きな影響を及ぼす可能性がある。

規制強化は、中共がロボット産業への支援を強め、多くの中国企業が株式上場や海外進出を進めているさなかに打ち出された。

中共外務省の毛寧報道官は29日の定例記者会見で、「中国側は一貫して、アメリカが国家安全保障の概念を拡大解釈し、中国企業を抑圧することに反対している」と述べた。

米中はこれまでにも、先端半導体やAI、貿易、戦略技術のサプライチェーンの主導権などを巡り、対立を続けてきた。

ブルームバーグは、今回の規制は広い範囲に影響を及ぼし、米中間の技術を巡る対立をさらに激化させる可能性があると指摘した。トランプ米大統領と習近平の会談を2か月後に控える中での措置となった。

中共の支援を背景に海外進出を加速

中国のロボット産業は、国内に整備された大規模なサプライチェーンと中共の政策支援を背景に、近年急速に成長している。

中国工業情報化部のデータによると、今年上半期に世界で販売された四足歩行ロボットのうち、中国企業製が7割近くを占めた。

今回の措置が中国のロボット産業にどの程度の影響を与えるかは、現時点では明らかになっていない。多くの中国企業はアメリカでの販売実績を個別に公表していないが、複数の企業が海外市場の開拓を成長戦略の柱としている。

先週公表された中共の税関統計によると、中国は6月、工業用や清掃用、手術用、バイオニック型などのロボットを約6億ドル分輸出した。このうち約8%がアメリカ向けだった。

宇樹科技は昨年、中核事業の売上高の4割以上を海外市場から得た。

同社は半導体大手エヌビディアと協力し、同社の「Isaac GR00T」プラットフォームを採用した新型人型ロボット「Unitree H2 Plus」を開発している。今年後半の発表を予定しているが、今回の規制を受け、この機種がアメリカで認証を取得できるかは不透明となっている。

上海に本社を置く智元機器人(Agibot)の幹部は、今年の売上高の約3割を海外市場が占め、将来的には半分を超えるとの見通しを示している。同社はアメリカ市場への進出も目指している。

深圳普渡科技(Pudu Robotics)は今年初め、テキサス州ダラスにアメリカ本社を設立した。

同社によると、米州ではすでに約1万5千台のロボットを導入しており、同地域の売上高は前年同期比285%増となった。

倉庫用ロボットを手掛けるGeekplusの昨年のアメリカ市場での売上高は8億3900万元で、総売上高の約26.5%を占めた。

専門家「米ロボット産業を大きく変える」

FCCは28日の声明で、「外国製の先進ロボット機器に依存することは、容認できないサプライチェーン上のリスクやサイバーセキュリティー上の危険をもたらす」と指摘した。

そのうえで、「これらの機器が収集したデータは、悪意ある主体によって、アメリカ市民の監視や外国情報機関の能力強化、ロボットの遠隔操作に利用される可能性がある」と説明した。

トランプ、バイデン両政権で勤務した経験を持つ外交問題評議会(CFR)の上級研究員、クリス・マクガイア氏はXに、今回の措置はアメリカのロボット産業をアメリカ「大きく変える」可能性があると投稿した。

マクガイア氏によると、この措置はロボットのサプライチェーンを米国内に回帰させる動きを促すと同時に、低価格で国家安全保障上の懸念もある中国製ロボットがアメリカ市場に流入するのを防ぐ効果がある。

香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、複数の中国の人型ロボットメーカーが今年中の新規株式公開(IPO)を準備していることから、アメリカがこの時期に規制を導入したのは偶然ではない可能性があるとの専門家の見方を伝えた。

カウンターポイント・リサーチの首席アナリスト、スーメン・マンダル氏は、「テスラやFigure、ボストン・ダイナミクスなどのアメリカ企業は、今回の規制によって大きな恩恵を受けるだろう」との見方を示した。

呉畏
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