【大紀元日本9月19日】碧峰峡(へきほうきょう)は、中国四川省・雅安市の北8キロに位置する。歴史の街である雅安市は古代、雅州と呼ばれ、南シルクロードの経由地として知られていた。
伝説によれば、碧峰峡は女神である女媧(じょか)が天を補うために辿りついた最後の場所。太古の昔、水神の共工(きょうこう)と火神の祝融(しゅくゆう)が地位を争い、敗れた共工が不周山に頭をぶつけた。このため、不周山にあった天を支える柱が傾いて天の一部が崩れ落ち、そこから漏れた水が豪雨のように止まらず大地に降り注いだという。女媧は、地上の万物を救うために五色の石を煉り、天を補っていた。
間もなく補修が完成する時、女媧は雅州の辺りにまだ少し漏れているところがあることに気付いた。急いで雅州に行って天を補おうとしたが力尽き、倒れた体が山に変わった。完全に補修できていなかったその僅かな隙間から漏れた水が、常に小雨のように雅州に降り注いだことから、この地は「雨城」と呼ばれるようになった。
完全に補修できなかった女媧の最後の心残りは、かえって美しい碧峰峡の自然を形成するのに役立った。この地方は常に雨が降るため、一年中湿潤の気候で、古くから「雅魚(雅州の川魚)」と「雅女(雅州の女性)」を養ってきた。これに「雅雨(雅州の雨)」を加えて「雅州の三絶」と呼ばれている。
「雅雨」とは針のように細く、霧の様で肺を潤す小雨のこと。「雅魚」とは背が青黒くて身体が細長く、頭の中に剣に似た骨がある魚で、女媧の宝剣が水の中に落ちて出来上がったと伝えられている。この魚は、雅安の珍味としてかなり値段も高価だ。また、雅州の女性「雅女」は、女媧の後裔と言われ、美女が多いことで有名だ。おそらく年中降る小雨で潤うため、雅安の女性は体つきがしなやかで美しく、肌も白く赤みがさしているのだろう。
碧峰峡を流れる滝(ネット写真)
碧峰峡には山・森林・渓流・瀑布・峡谷が揃い、海抜は700メートルから1971メートル。二つの渓谷がⅤ字のように分かれている。左峡の長さは7キロ、右峡の長さは6キロで、峡谷の幅は30メートルから70メートル。峡壁の高度は100メートルから200メートルだ。
碧峰峡の峡内は林木が青々と生い茂り、峡谷は静かで幽遠、雲霧が充満している。数十か所の瀑布が轟音を立てて谷間に響き、人を陶酔させる。波しぶきをあげて勢いよく流れていく谷底の渓流の音が、響き渡る。
峡谷区の中には幅1.5メートルほどの石畳の道がある。そこを歩きながら山水の中に身を置けば、険しい峡谷の秀麗さに、奥深い原始の森の姿をみることができるだろう。
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