【大紀元日本10月7日】オランダのアムステルダム大学理論物理学院のエリック・ベルリンド(Erik Verlinde)教授はこのほど、「重力は存在しない」という学説を発表した。重力が単なる熱力学の法則の必然の結果だというベルリンド教授の主張は、科学300年来の理論を覆し、多くの物理学者たちの反響を呼んでいる。7月12日付けのニューヨークタイムズ紙が伝えた。
通常、素粒子物理学では自然界には4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、重力)が存在し、重力はその基本的な力の一つとされている。しかし同教授はこれを誤った見方と指摘し、重力はもっと自然的な現象で、例えば、株式市場が個々の投資家の集団行動から作られることや、ゴムがもつ弾性が原子の力学から現れるようなものだと説明した。
理論の核心は熱力学的なエントロピー(状態の雑然さ、すなわち自由度の多さ)と関連している。ベルリンド教授は、自然にカールする髪の毛を例にしてこう解説している。多湿な環境で髪の毛が縮むのは、真っ直ぐになるよりも縮むほうが多くの状態(自由度)を持っているからである。従って、縮んだ髪の毛を真っすぐにするには力を必要とする。重力は、エントロピーを最大限にしようとするという熱力学の法則の副産物に過ぎず、自然の傾向だと教授は主張する。
重力は存在しない、という理論は物理学者の間で大変な反響があった。ハーバード大学弦理論学者アンドリュー・ストロミンガー(Andrew Strominger)氏は、「この理論は極めて正確であることは我々も知っている。とても興味深い理論だ」 と述べた。
現代科学は、宇宙研究において重力理論が基本となっている。しかし重力が存在しないのであれば、銀河系や宇宙構造に対する認識も必然的に誤っていることになる。天文学者は、はるか遠くにある天体の運動を重力理論では説明できないから、限りなく強い重力をもつ「ブラックホール」理論を導入せざるを得ないのかも知れない。事実、「ブラックホールは存在しない」と唱える物理学者もいる。
新理論は、科学者らの宇宙に対する全く新しい認識への追求を促している。
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