【大紀元日本10月21日】「イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んだが、そのとき、水は彼らの右と左に壁となった。主はこうして、その日、イスラエルをエジプト人の手から救われた」(旧約聖書『出エジプト記』14章)
エジプトから逃れようとするモーゼの目の前の海が割れ、道ができたという旧約聖書の記述は、物理的に可能なのか? アメリカ大気研究センター(National Center for Atmospheric Research)と米コロラド大学(University of Colorado)の研究者らが、コンピューターグラフィック(CG)を使って計算し、「強力な東風が一晩吹き続ければ、水を後退させることもあり得る」と発表した。同論文は、オンライン科学ジャーナル「PLoS ONE」に掲載された。
同研究チームは、およそ3千年前のナイル川のデルタ地帯をコンピューターで再現し、超強力な風が吹いた場合の海の動きを計算した。シュミレーションは、時速100キロメートルの風が12時間連続して吹いた時に、深さ1.8メートルの水が後退し、地表が現れることを示した。この条件が整えば、長さ3.2キロメートル、幅4.8キロメートルの干潟がおよそ4時間出現し、モーゼたちが逃げるのに十分な道ができる。また、風が止むと、すぐに水が戻って来ることも分かった。これは、モーゼを追いかけるファラオたちの軍隊が水に溺れたという旧約聖書の記述通りだ。
論文の主執筆者であるカール・ドリュー氏(Carl Drews)がこだわったのは、海割れが起こって道の両側に水の壁ができたという旧約聖書のくだり。ハリケーンのような時速119キロメートルの風が吹けば岩礁がむき出しになるため、その間を通って逃げたのだと、以前にロシアの研究者が発表したことがあるが、ドリュー氏はその仮説には無理があるとしている。また、そのような強風が吹いている時に人が通れるとも思えないと指摘する。
今回、研究チームは古代の記録や衛星、現代の地図からおよそ3千年前の水の流れや深さを計算し、スエズ運河より120キロメートル北の位置が、ナイル川のデルタ地帯であると推測した。ドリュー氏は、「私たちは、いつもこの出エジプト記の物語に魅了されてきました。これが実際に起こったことなのかどうか、ということにね」と好奇に満ちた目を輝かせた。
(YouTubeより)
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