【ショート・エッセイ】 なめとこ山の熊たち
【大紀元日本11月7日】「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ。ほかの罪のねえ仕事していんだが畑はなし木はお上のものにきまったし里へ出ても誰も相手にしねえ。仕方なしに猟師なんぞしるんだ。てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生れなよ」
宮沢賢治の童話「なめとこ山の熊」のなかで、猟師の小十郎が射殺した熊に向かって言葉をかける場面である。
山の中では熊射ち名人の小十郎も、町へ出れば熊の胆や毛皮を商家の主人に安値で買いたたかれる惨めな身分でしかない。その境遇から抜け出せない自身の姿が分かっているからこそ、熊の言葉が理解できる小十郎は、熊に「この次には熊なんぞに生れなよ」と心からの祈りを奉げる。
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