【大紀元日本12月8日】ノルウェー人のロバート・ローケン(Robert Loken)さんは600日かけて、甘粛省の嘉峪関から遼寧省の丹東市までを歩き通した。彼はマイナス22℃の厳寒と40℃の酷暑に耐え、数年来の宿願を果たした。
中国を好きになり、 万里の長城を完歩するのが夢だった
ローケンさん(42)はすでに9歳のころから、万里の長城を歩き通すことが夢だったという。1998年、ローケンさんは兄と一緒に2ヶ月かけて長城の一部を歩いた。彼は中国人の友達を得、彼らと熱く語り合った。その時の経験が深く印象に残った彼は、中国の持つ美しい自然と深遠な歴史に魅了されていった。
2007年、ローケンさんは夢を叶えることを決意。オスロにある家を売り、6年間務めたIT関係の仕事を辞めた。彼は、2009年4月から、毎日約20キロのスピードで甘粛省嘉峪関から遼寧省丹東市まで歩くという計画を立てた。そして、彼はこの旅の間にたくさんの中国語を学ぼうと思った。
千里のひとり旅でも、孤独ではなかった
最初の1年間は、ローケンさんは予定より速いスピードで歩いた。1日30数キロの速度を維持し、天気が悪い時でもおよそ17キロの距離を歩くことができた。道中は強風や暴雨に見舞われ、厳しい気候、蚊の襲撃、ケガなどたくさんの困難に出会ったが、すべてを乗り越えて前進した。
ローケンさんが旅の途上で一番怖かったのは、山西省で大雪に見舞われたときだった。外の気温はマイナス10℃まで下がり、彼はテントの中で、高熱を出して苦しんでいた。2時間ほど経ち、大雪は止んだ。ローケンさんは当時のことを振り返り、「もしあの時、寒さで感覚を失っていたら、大雪の中で死んでいたかもしれません」と話す。
長い旅の間、ローケンさんはほとんど一人ぼっちだったが、感動的な出会いもあった。吹雪の中で23キロ歩いた時に出会った山西省の75歳の農夫のことは、永遠に忘れられないという。この老人はローケンさんを自分のオンドルの上に寝かせ、彼の服を乾かし、彼が所持していた水と食物を温めてくれた。方言しか話せない老人と、少ししか北京語が話せないローケンさんは、互いに言葉をよく理解し合うことができなかったが、「私たちは一緒に笑いあい、すぐに打ち解けた。私は、その夜のことを今でも忘れません」と話している。
ゴールに到着し、長年の夢を叶えた瞬間
12月1日、ローケンさんは遼寧省丹東市にある明代の万里の長城の東端、虎山長城に到達した。彼の長い挑戦は終わりを告げ、夢が叶った瞬間だった。彼は自分のブログに、次のように書いている。「私の長城の旅は、孤独ではありませんでした。ずっと、皆さんが私に付き添ってくれたからです」。長い旅を通して経験した、悲喜こもごもの出来事。彼は一編の詩で、その思い出を綴った。
「前進する足どりは いつまでも休みなく
成功を勝ち取るまで 絶えず歩き続ける
一歩を踏み出すのは 決して難しくない
もし この一歩が無駄であるのなら もう一歩を踏み出すのだ
一歩一歩 終わるまでずっと
なぜなら この試みを繰り返すことで 夢が叶うことを知っているから」
友人たちからの祝福と様々な思い出を胸に秘め、ローケンさんは12月5日、久々に故郷のノルウェーに戻った。しかし、彼の「中国の夢」は、まだ終わりを告げていないようだ。「私は中国から長く離れようとは思いません。近いうちにまた中国に戻ります」と語り、再び訪中することを約束した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。