【大紀元日本4月19日】英国の南西部にダートモアという荒野が広がる。この地域で毎年、14歳以上を対象に5月の始めにテン・トーズ(Ten Tors)と呼ばれるウォーキングキャンプが繰り広げられる。
学校、スカウトグループ、陸軍士官学校や海軍兵学校などから、毎年2400名の若者が参加する。ウェブサイトを見たら、オーストラリアやニュージーランドからも参加しているとのこと。14歳・15歳は56キロのブロンズ・ルート、16歳・17歳は72キロのシルバー・ルート、18歳・19歳は89キロのゴールド・ルートの克服を目指す。
荒野では丘の頂上はトー(Tor)と呼ばれ、10のトーを克服するのでテン・トーズというわけだ。 6人が1チームになり、一人でも脱落したらそのチームは失格。競争ではなく、忍耐強さ、互助精神、ナビゲーション、サバイバルスキルを養うことが目的で、英国陸軍が毎年企画している。力持ちの男子がテント類を運び、食糧、鍋釜、水分すべて持参で、与えられたルートにある10の山頂を克服しながら、ゴールを目指す。何もない荒野で一泊しなければこなせないルートだ。先生からのメッセージは「何があっても死ぬな。帰ってこい」
英国には、学業資格とは別に、エジンバラ公賞(Duke of Edinburgh’s Award)という14歳から24歳を対象とする、個人のアクティビティーを認定する制度が設けられている。エジンバラ公は現在の女王陛下のご主人だが、DofEという略称で、若者を対象とした健全な資格の代名詞となっている。ボランティア活動、スポーツ、技能、遠征、家から離れての活動などの分野で認められたプログラムをこなすと、ブロンズ、シルバー、ゴールドなどの賞が与えられる。学校だけでなく、青少年クラブやボランティア機関、青少年犯罪者の刑務所なども利用しているようだ。そしてこのテン・トーズは、エジンバラ公賞の「遠征」の部門に数えられている。
中学の後半になり、進路のことなどを意識し始める頃、学校の方からエジンバラ公賞やテン・トーズの話が持ち上がる。担当者が各校を回って生徒に直接紹介していた。学業が今ひとつ思わしくなくても、こういう賞で履歴書が飾られれば、就職に有利とか。というわけで一時は生徒の間でも盛り上がる。小さな私立校だったためか、エジンバラ公賞は説明会だけで終わってしまったようだったが、テン・トーズの方は、毎年参加者を出していた。
小さい頃から多少の山歩きはさせていたが、キャンプはしたことのなかった娘にとって、良い機会だと思い、本人も週末の友人との山歩きは嫌いではなさそうで、14歳になる手前の娘は、5月のテン・トーズに備え、1月/2月頃から地元での練習に参加し始めた。
(続く)
著者プロフィール:
1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。
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