【大紀元日本6月26日】
4.子作りを制限する、夫婦は革命の同志である、男女に区別なし、女性も天の半分を担える
2)革命の同志である夫婦
東方の伝統文化でも、西方の伝統文化でも、「家庭」が社会生活の中心である点は共通している。最も近代化している米国においても、「家庭を大切にする」ことは依然として大きな美徳と見なされる。
人間にとって、家庭はリラックスするところで、夫婦の間に恩と義があって、信頼と思い遣りがある。夫婦の間で心を開いて話すことは、ストレスを発散して心身両面の健康を保つ最も大切な方法である。
詩経に「おしどり夫婦は、琴と瑟を合わせ奏でるが如し」(※)とあるように、伝統的な中国家庭の中で、男性は主に外の世界で活動して、強くて思い遣りもあって妻子を守る。女性は主に家庭内で活動して、優しく徳行があって夫を扶助する役を果たして、夫婦は仲良くて調和がとれる関係にある。理解し合い尊敬し合って、相手を思い遣るのは夫婦円満のポイントである。
党文化は婚姻の儀礼を変異させて、国民の出産まで制限して、夫婦間の関係をも新たに定義した。中国共産党は伝統文化を批判して、伝統的な人間関係を「時代遅れの封建主義の粕」と称して、家庭内の温情を党人気質と革命気質の足りない小市民の感情と貶し、夫婦間の人倫関係を空洞化させた。人間性を抽出して取り除いてから、共産党はまた党人気質を中国人に注ぎ込み、夫婦は「革命の同志」だと吹聴して、夫婦間の感情と倫理を認めない。夫婦の「同じ心」とは、同じ党を支持することであり、「同じ志」とは同じ党の路線であって、夫婦間の信頼は絶対的な党に対する信頼を超えることはなく、夫婦間の恩義が絶対的な党に対する忠誠心を超えることもない。
結婚するのは家庭を築くためなのだが、中国共産党の統治下では、結婚は家庭を築くためではなく、党の一つの単位、革命を行う手段と道具を作るためになってしまって、夫婦は「革命の同志」になった。中国共産党に「十大女性革命家」の一人として賞賛される曾志は回想録・『革命の生存者』に自分の婚姻観を、「一人の共産党員にとって、夫婦の生活は重要なことではなく、重要なのは政治の生命だ」と述べた。
『共産党宣言』では「家庭の消滅」が明確に著されており、「我々が家庭教育の代わりに社会教育をもってするのは、人間の最も親密な関係を消滅させるためだ」とある。家庭、人倫、夫婦、子女、親、友人など正常な付き合いは人類社会を構成して、人類も夫婦がいる家庭の形があってこそ、その理性と才能とを道義的な約束の下で発展させることができるのだ。しかし、共産党は「革命の同志」という利益関係で夫婦間の人倫関係に取って代わり、根本から人類社会の基本的な形を壊した。
第六章『慣習化した党話』で分析したように、夫婦間で「同志」と呼び合うと、夫婦は日常生活の中で常に自分の「共産党員身分」を自覚し、中国共産党のカルトの影は永遠に家庭を圧倒する。夫と妻はまず「同志」でその次に夫婦であり、もし一方が中国共産党に敵とされるともはや「同志」でなくなり、もう一方は配偶者とはっきりと一線を画し、党組織に近寄らなければならない。夫婦が「革命同志」にさせられることによって、伝統的な夫婦の恩義と信頼が破壊され、人々は配偶者さえ信用できなくなった。「革命同志」の関係がいったん打ち破られたら、夫婦間の倫理の束縛力も弱いため、文化大革命時には夫婦が互いに摘発・告発することも容易に起こった。
人間は一番親しい人に一番ひどく傷つけられる。いったん最も信頼する人に傷つけられたら、人間は世の中の全てを信頼できなくなるかもしれない。これがまさに共産党が望むことである。
文化大革命が終わった後、「革命の同志」の関係は自然に生活の中の「同志関係」に変わった。多くの夫婦はただ家庭を維持しているだけで、夫婦間に感情の交流と思い遣りはたいへん乏しく、生活は単調で重苦しいものである。子供たちが巣立つと、その後何をすればいいか分からなくなる夫婦がたくさんいた。
3)男女に区別なし、女性も天の半分を担える
男女はもともと異なる生物だが、長年党文化に影響されてきた中国人は、女性のことを言うと自然に、「時代が変わって、男女は同じになった」とか、「女性も天の半分を担う」などの言葉を思い出す。しかし、男女はもともと異なるものである。
中国の伝統文化は陰陽のバランスを重んじ、男と女を含めて、万事万物は互いに調和する規則を講じる。男は陽で剛直がその特性となり、女は陰で愛嬌がその特性となる。両者の剛と柔は互いに補って調和がとれ、強い者が弱い者を虐めるという関係ではない。中国数千年の倫理道徳では、夫婦の間の恩と睦まじい仲を重視して、男性は外の世界で活動して一家を支え、妻を愛護し彼女の一生のために責任を取る。女性は家庭内を整えて、舅と姑を扶養し子供を教育して、夫の面倒を見て彼を扶助する。
家庭は社会の基本単位で、古代の中国社会において家庭と一族は極めて重要な役割を演じていた。古人の人生理想は「身を修め、家を整え、国を治めて、天下を平安にさせる」であった。「天下を平安にさせる」とは「家を整える」ことをもっと大きいスケールに広げるにすぎないのである。『中庸』に「君子の道は夫婦から始まり、それを極めると、天地をも察する」と説いたとおり、家庭関係の中で、「夫婦」関係が最も重要な関係となる。中国共産党が吹聴した「男女に区別なし」は、家庭のバランスと調和を破壊して、伝統社会の秩序を転覆させるための重要な一環となった。
(※)詩経の原文は「妻子好合、如鼓琴瑟」で、「妻と子が仲睦まじく、琴と瑟(大きい琴)を合わせ弾くようである」ということだが、琴と瑟の音がよく調和することから、後句に着目して一般に、夫婦の仲がよいことを言うのに使われる。
(続く)
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