見ることを許されない中国の真実 あるボランティア女性の思い

【大紀元日本8月28日】

【編者】この文章は、先に発表した「中国ガン村の惨状 あるボランティア女性の報告」と「中国極貧村の現状  あるボランティア女性の報告2」に続くエピローグである。

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飛躍的な経済成長を吹聴され、外資系企業から大量の資金が注ぎ込まれる中国だが、民間にこれといった恩恵は無い。逆に、どれほどの村が工業汚染によってもたらされたガンの苦しみを受けているのだろうか。きらびやかなショーウィンドウによる集客の背後で、貧しいガン村の現実は固く隠ぺいされている。昨年、中国のガン村での7年間のボランティア活動を2冊の本にまとめて出版した唐米豌さん(※)が目にした、外国人が見ることのできない光景は、人々の知らない中国の真実を映し出している。

人は皆、目で見たものが真実であると言う。ならば中国がどんな様子なのか、行って見てみれば分かるだろう。だが、中国では、どこへでも自由に入れるわけではない。ガン村、エイズ村は入ることを許されず、地震が発生し救助が急がれる被災地でさえも、政府の許可がないと入ることは許されない。人々が目にしているのは、見ることの許された場所だけであり、真実が覆い隠された後の「ショーウィンドウに展示された」真実なのである。

唐米豌さんは、外国人は見ることができず、中国大陸に住む人々はあえて見ようとしない現実を目の当たりにした。彼女が話したことも、彼女が見た一部分にすぎない。中国には一体どれほどのガン村が存在するのか知る術はないが、中国の農村では、控えめに見積もっても、少なくとも3億人が安全な生活用水を得られていないと言われる。

辺鄙な片田舎でなくとも、北京から南へわずか120キロの劉快荘もガン村のひとつである。過去10数年で、村では200人以上がガンで死亡しており、付近の村や鎮では50人に1人がガンを患っている。これは全国平均の25倍だが、現地政府は「我々の地区の発ガン率は他の地区よりも低い」と発表している。

人の質を量るには、その人より強い人、階層の高い人に対する態度を見るのではなく、最も弱く最も階層が低い人に対する態度を見なければならないと人々は言う。社会の善し悪しを量るのも同じで、最も貧しく最も弱い集団に対する態度を見て判断する。中国共産党の現行政策は、まずはごく少数の人を裕福にするものだ。一般大衆はこの少数の人々を富ませるための犠牲になり果てている。

2010年9月、国務院貧困扶助指導弁公室副主任・鄭文凱氏は、中国の農村貧困人口は、1978年の2.5億人から2009年には3597万人に減ったと発表した。しかしながら、鄭副主任の用いた貧困基準は、2008年制定の一人当たりの純収入1196元以下というものであり、購買力平価でみると、それは1日わずか0.81ドルである。

世銀2009年4月8日発表の報告によると、中国は同年、貧困扶助額を引き上げたものの、やはり国際最低基準には達していない。同年の購買力平価でみると、中国では2.54億人の消費額が依然として、国際貧困ラインである、一人が1日に消費する1.25ドル(8.5元)より少ないという。

2.54億の貧困人口は決して少数ではないだろう。

中国ではいま、西部に対する大規模な扶助を始めているが、過去30年における貧困扶助政績をみると、多くの貧しい県でもホワイトハウスのような県政府ビルを建てている一方、農民の生活、特に病を患う農民の生活は、依然として生きるか死ぬかの瀬戸際にあるという。

貧困扶助の第一の要素は、人に貧困を見せ問題のありかを見せることにある。だが、ガン村は見せない。河南省のエイズ村は、高耀潔氏の決死の暴露がなければ、我々は知ることはなかった。四川大地震も譚作人、艾未未、黄_qii_(き)などの人々の調査がなければ、どれほどの子供たちがおから工事でできた校舎の下敷きになって死んだのかを知ることはできなかっただろう。

人々は、ダチョウが地中に頭を隠せばそれで危険が無くなったと考えることをあざ笑う。しかし、中国共産党の現行の愚民政策は正に、情報を封鎖しさえすれば人々はその弊害を知りえないと考える。だが、その弊害はガン細胞のように、検査したか否か正視しているか否かにかかわらず、拡散し続けており、時間が経てば経つほど助かる望みは消えていくのだ。

唐米豌さんが近年病弱であるにもかかわらず、ほうぼうを駆け回り呼びかけ続けているのは、この現実を身を以って体感したからである。

ガン村の真相を本にまとめて出版した唐米豌さん(写真=楊暁慧)

(※)唐米豌さん
本名:陳美芬、1956年マレーシア生まれ 。長年、新聞記者を務め、後に引退してボランティア活動に励んでいる。中国のガン村での7年間のボランティア活動を2冊の本にまとめて、2010年に出版した。以来、中国政府のブラックリストに載せられて、入国禁止となった。また、講演などで中国の現状を積極的に訴えており、「自分は普通の中年女性であり、できることは限られている。しかも、まだよく行えていない。本を通して、国際社会の共感を呼び、善意の行いを広げていきたい」という。

(文・王浄文、翻訳編集・坂本)
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