中国崑崙山の仙人(4)祖父の死

【大紀元日本11月28日】

前書




本文は、私が知り合った先天道を修めた平先生(500歳)の経歴を記録したもので、文章はすべて記憶によるものである。何人かの人の記憶を統合したもの、または私と平先生の間であった途切れ途切れのいくつかの対話を元に書いたものであるため、文の繋がりがよくないと感じられるところもあると思われる。私はそれらを一つに統合し、論理的な文脈を整えるため、想像を使った文字を加える場合があったが、事実を離れた記述はない。平先生との経験から、私は世の中の多くの出来事は人が思っているものとはまったく違うということが分かった。本文を読んだ後、多くの人は考え方が変わると思う。

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二、修羅術

それ以降は何の異常もなく、私は無事に「百日の関」を乗り越えることができた。 その後、当時の「百日の関」はいったいどんなものだったのか、と私が平先生に聞くと、平先生は、それは妖人による祟りであったと教えてくれた。それらの妖人たちは鳥や獣類に変身することができ、もっぱら赤ん坊の精気(せいき)を吸って生きている。実際のところ、彼らは元々普通の人間であったが、心がけが悪く、「修羅術」という邪法を練ってしまったために妖人になったのだという。「修羅術」を練ると、魂が体から離れられるようになり、小型の鳥や獣類に変身して、夜に人を害するが、たいした能力はないという。

どうして彼らは赤ん坊の精気を取らなければならないのか、と平先生に聞くと、平先生は、このような邪法を練る人は世間の食べ物が食べられず、赤ん坊の精気によって命が維持されていると言った。それらの妖人は一般的に100歳を超えるものが多く、修練して成就したら、阿修羅(あしゅら)となり、修羅界に入って、修羅界の怪物となるのだ。

平先生によると、普通の「百日の関」の妖人は、妖術があまり高くないので、普通の矢だけで撃ち落とすことができるが、私が遭った「百日の関」の妖人は100年あまりも練っており、まもなく阿修羅となるところだったので、一般の人にはそれを収めることができないという。「百日の関」を取り除いたその夜、平先生は1頭の小さな白龍を放ち、数百キロメートルも妖人を追いかけた。そしてある荒れ山に入ったところ、山の中腹で妖人は姿を消した。

平先生が天目(両眉の間にある第三の目)で見ると、山の中腹に一つの穴があるのが見えた。入り口は石で閉じられ、誰も入れなくなっていた。平先生が超能力で入り口を開くと、中から腐った臭いが漂い、数百にも上る赤ん坊の骸骨が至るところに転がっていた。そこには、背をこごめて座っている、とても醜い老婆がいた。老婆は痩せてごつごつし、鼻は曲がり、目は緑色で、先の鋭い歯を持っていた。

その老婆は骸骨の山の中に這いつくばり、身震いしながら、絶えず許しを求めた。平先生は、龍で妖人の老婆を縛った後、桃木の剣で頭蓋骨を突き通し、それを討ち取った。

祖父は、私が3歳の時に世を去った。祖父は中国の伝統的な価値観を守り続けた世代の人で、誠実で、忠実で、受けた恩は必ず返し、悪事を働くことは決してなかった。しかし、現在の中国では皆の心が悪くなり、貪欲で、薄情になり、祖父のように慈悲深くて、尊敬されるような伝統的な老人はほとんど見かけなくなった。

そんな祖父には、一生叶えることのできない願いが二つあった。母の話によると、祖父は死ぬ前に、父や叔母などの家族を側に呼び、かろうじて二つの指を伸ばしながら、自分は一生悪いことはしていなかったので、天と先祖に恥じることはないが、ただ気がとがめることが二つほどあり、どうしても補いたいと言ったという。一つは、民国21年(民国紀元、中華民国が成立した1912年を紀元(元年)とする紀年法である)、道端で7元入っている1袋の大洋(旧時の1元銀貨の通称)を拾ったことがあった。祖父は、そこで夕方になるまで落とし主を待っていたが、落とし主はなかなか現れなかった。仕方なく祖父はそのお金を家に持って帰ってしまい、当時は家の家計がとても苦しかったため、そのお金を使ってしまった。このことが、いつも祖父を苦しめた。祖父は、その時に使ったお金と同額のお金を出して、乞食や助けが必要な貧乏人たちに与えるよう父に頼んだ。父はしきりにうなずきながら、祖父の言う通りにすると言って、祖父を安心させた。

続いて祖父は、二つ目のことを話した。それは、私が「百日の関」に遭った時にそれを解除してくれた、あの先生のことだという。あの先生は孫の命を助けてくれたが、名前さえ知らないといい、我が家には貴重なものはなく、唯一先祖から伝わる骨董があるが、いつの日かあの先生に会ったら、必ずその骨董品を彼に与えて恩返ししなさいと話した。

父は祖父のベッドの前に伏せてうなずきながら、きっと祖父の言う通りにするから、心配せずに体の療養に専念するよう祖父を慰めた。父の話に祖父はやっと安心した様子で横たわり、当日の夜、静かにこの世を去った。

 (翻訳編集・柳小明)
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