【大紀元日本8月7日】うろ覚えの中国ジョークをひとつ。
ここ数十年、中国の経済成長は素晴らしく、とうとう世界第二の経済大国になった。しかし、一部の人たちは確かに大金持ちになったが、大多数の国民生活はまだまだ貧しい。大国と持ち上げたり、小国といったり、どちらが本当の・・・? それでは中間を取って、中国ということでいかがでしょうか。
どなたの作か知りませんが、中国の現状をよく表していると思う。
この本の著者・王 文亮氏は1963年、江西省生まれで、現在は金城学院大学・大学院文学研究科の教授である。著書に『格差で読み解く現代中国』(ミネルヴァ書房刊)『格差大国 中国』(旬報社刊)などがある。
国の経済規模はGDPで表わされるが、王氏は中国のGDPの多くは中国自身の富ではないと言う。中国は世界の工場と言われ、メイド・イン・チャイナの製品が世界を席巻している。一方、中国製品の製造国・産地は中国であることは事実だが、製造の実態は外資系企業が担っている。実は中国のGDPの約4割は外資系企業が作っている。さらに付加価値の高い製品、特にハイテク製品になると外資系企業のシェアが高くなり、この部分を除くと中国のGDPのサイズはかなり小さくなる。王氏によれば、この重要な事実について日本人やほかの外国人はもちろん、中国人自身も意外とよく知らない、と言う。
王氏は中国を「史上もっとも貧しい世界第二位」と表現し、本書の中で現代中国の数々の問題点を指摘していく。
内容の一部をご紹介すると、「中国で売れない純国産車」「不動産バブルは必ず崩壊する」「世界に類例がない農民収奪の土地制度」「いま中国では養子が大流行」「中国でも孤独死は珍しいことではなくなった」「大学生の就職難は発展途上国の珍現象」「腐敗・汚職官僚は国民のあこがれの的」などなど気になる項目が多い。
また、急激な経済成長とともにモラルも滑落していく。本書の中からエピソードを一つ転載させていただく。
広東省広州市の新聞「南方都市報」はピカピカの一年生を紹介しようと、「広州の小学一年生の理想」と題して、インターネットの動画番組を企画し、市内の小学校を取材した。子供達から画家、教師、消防士などの答えが続くなかで、ある女の子が視聴者を仰天させるような答えを口にした。以下はそのやりとりだ。
「大きくなったら、何をしたいですか?」
「高級官僚になりたいです」
「どんな高級官僚になりたいですが?」
「ええと・・・・・、汚職官僚です。物をいっぱい持てますから」
振り返れば日本においても1950年代からはじまる高度経済成長期とともに、かつてあった美風はすたれ道徳心は低下していった。社会の格差は広がり、バブル崩壊後は若い人達が希望の持てない時代となってきている。中国が急速に日本と同じ道を歩んでいるように思えてならない。
【大紀元の記事から】
親孝行を法令で義務づけか 高齢者世帯対策で=中国
http://www.epochtimes.jp/jp/2011/01/html/d57059.html
書名 『仮面の大国 中国の真実』 恐るべき経済成長の光と影
著者 王 文亮著
出版社 PHP研究所
価格 1,785円(税込み)
発行年 2011年12月
ISBN 9784569801100
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