【食と健康】 果物の寒熱温涼

【大紀元日本9月26日】秋は、果物が豊富な季節です。果物にも寒熱温涼の特性があり、体質に合わない場合は健康によくない影響をもたらすることもあります。古代の漢方医学書には、果物の食用や薬用に関する多くの情報が記載されています。その一部をご紹介しましょう。

 ナシ(梨)

 ナシは涼性で、生津、潤燥、清熱、化痰の効能があり、肺に熱があって潤いが足りない時の乾燥性咳、痰の絡み、咽喉と口の乾き、声のかすれ、及び胃に熱があって便が硬くて出にくい時などに、症状を改善できます。

 しかし、ナシは涼性のものですから、肺が冷えている時の咳や鼻水、喘息、及び胃が冷えている時の腹痛、下痢、消化不良には食べない方が良いでしょう。

 ナシを加熱すれば、冷える性質が弱くなります。肺や胃が弱くても、粘膜の乾燥を改善するために、蒸したり茹でたりして食べると良いでしょう。

 ブドウ(葡萄)

 ブドウは平性、つまり温涼に偏らない性質です。血気を補い、肝腎を養い、津液を生じ、筋骨を強化し、小便を利する効能があります。気力が弱い人の慢性の咳、動悸、寝汗、腰痛、関節痛や筋肉痛、小便不利や残尿感、浮腫などの症状に対して、補助的な治療効果があります。

 リンゴ(林檎)

 リンゴは平性で、津液を生じ、口渇を潤い、脾を補い、下痢を止め、胃気を調和し、気逆を下げる効能があります。慢性胃炎の消化不良、神経性胃腸障害の便秘や下痢、高血圧、高脂血症、単純性肥満に補助的な治療効果があります。

 しかし、潰瘍性結腸炎、冠状動脈硬化症、心筋梗塞、腎臓病、糖尿病の患者はあまりリンゴを食べない方が良いでしょう。

 また、胃が冷えている患者は生のリンゴを食べない方が良いでしょう。

 ミカン(蜜柑)

 ミカンは温性で、肺を潤い、咳を止め、痰を解かし、気を整え、口渇を潤う効能があり、急性、慢性の気管支疾患、心血管患者に良い補助食品です。果肉以外に、ミカンの皮、種、葉は、生薬として使用されます。

 ミカンの皮(陳皮)は気を整え、湿の邪気を取り除き、痰を解かして咳を止め、脾胃の機能を改善する効能があり、胸脇部の脹痛、食欲不振、消化不良、痰が多い時に有効です。

 ミカンの種(橘核)は散結、止痛の効能があり、鼠蹊部のヘルニア、睾丸の痛み、乳腺炎の痛みに効果があります。

 ミカンの葉(橘葉)は疎肝理気、消腫散結の効能があり、乳腺線種、ストレスによる胸脇部の痛みに有効です。

 一方、ミカンを過食すると、結石や柑皮症(掌、足底、鼻などが黄色になる)を起こしやすくなります。また、酸味が強いミカンを食べると、痰が生じやすいと古書に記載されています。
 

 (利雪珍)