李克強首相が英国訪問 「飴と鞭」の傲慢外交に批判

【大紀元日本6月18日】中国の李克強首相は16日英国に到着、3日間の訪問を始めた。翌17日の午前にエリザベス女王、午後はキャメロン首相と会談した。

首相会談では、中国向けのエネルギー供給の拡大や、英国の高速鉄道、原子力発電所への中国企業の事業参入の強化などが議論され、エネルギーや環境、金融などの分野で総額140億ポンド(約2兆4千億円)規模の商談をまとめた。

一方、中国政府の傲慢な外交姿勢や、人権問題より経済関係を重視するキャメロン政権への批判も高まっている。

「傲慢な外交」

「女王に面会出来なければ首相の訪問を取りやめる」と直前に英国にもちかけた中国政府。結局、英国サイドはこの要求を黙認、17日李首相はウィンザー城でエリザベス女王と会った。「女王は国家元首のみと面会する」という外交上の慣例を無視し、世界に対して中国政府の強い影響力を改めてアピールした。

英政府筋は英タイムズ紙に「中国政府は強硬な交渉相手だ」と漏らしたという。

「中国の高官は外国訪問のとき、よく相手国に無知な要求を突きつけてくる」と英国メディアは冷ややかだ。

英タイムズ紙の報道によれば、今回、中国側は英国外務省に、両国の首相夫妻面会時のサマンサ首相夫人の服装を事前に尋ねてきたという。

また、劉暁明中国大使は首相訪問の直前に「英国はドイツとフランスに続いて、欧州の三番目の国」と英国軽視とも捉えられる言葉を発した。

英紙ガーディアンは「中国との強固な政治と経済関係を望むキャメロン首相だが、『わが国の経済力は強いから、外交の常識を考慮する必要がない』とする中国政府の横柄な態度がみえみえだ」と評した。

中国政府の傲慢さは今回限りのものではない。

今年3月、欧州歴訪の習近平主席がドイツを訪問する際には、ベルリンのユダヤ博物館の参観を自ら要請した。「第二次世界大戦で中国を侵攻した日本をけん制する」という思惑の習主席に対して、ドイツ側は要求に応じなかったとも報じられた。

09年12月、当時の習近平副主席が訪日した際にも、直前に天皇陛下との会見を強く要求してきた。結局、日本側は特例として受け入れた。

「人権問題より経済利益を重視」のキャメロン首相に批判の声

人権問題を避けて、経済関係を重視するというキャメロン首相への批判も出ている。

李首相が英国入りしてから、クレッグ副首相は公に中国政府の人権問題を批判した。

副首相は「中国との経済関係はもちろん重要だが、人権問題を無視してはならない」とキャメロン首相に注文をつけた

両国関係は2012年にキャメロン首相が、来訪中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことで冷え込み、最終的にはキャメロン首相が譲歩することになった。去年訪中した首相は、経済関係強化を全面に打ち出し関係改善を図ってきた。

17日、英国首相官邸の周辺では午前8時から、中国の人権弾圧を抗議する団体が、李首相の到着を待っていた。

法輪功学習者らは「江沢民、羅幹、劉京、周永康に法的裁きを」「15年間続いた弾圧を停止せよ」の横断幕を掲げていた。

また、チベットの団体は自ら手錠をかけ、チベット弾圧に抗議した。

一人の参加者は大紀元時報の取材に対して、「経済利益を人権より重視するのは、大きな過ちだ」と語った。

(翻訳編集・叶子)

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