汚職撲滅運動の主将 江沢民元国家主席らへのメス入り示唆か

【大紀元日本9月4日】習近平指導部の汚職撲滅運動の主将で、党員の腐敗を監督する共産党中央規律検査委員会のトップ王岐山・書記が先月25日の中央会議で、このほど失脚した最高指導部元メンバー周永康氏に続いて、今後取り締まるべき党内序列のもっと高い要人はいるか、との委員からの質問に対し、「後であなたは徐々にわかってくるはず」などと意味深長な言葉を発したという。その真意を分析してみた。

同日、国政助言機関「全国政治協商会議」の中央会議に出席した王書記はおよそ300人の委員を前に汚職撲滅運動の進捗状況を説明した後、約40分間にわたり、常務委員たちからの質問に答えた。

香港紙「明報」は2日後の8月27日、情報筋の話として、中国政府系メディアが報じなかった一部の質疑応答を伝えた。

ある常務委員から、こんな質問が飛び出したという。「大トラ周永康は退治できたが、その次の取り締まり対象となる超大トラはいますか」。はじめは微笑みながら答えを渋っていた王書記だが、「『あなたはわかっているはず』との意味ですか」と同委員から突っ込まれると、「後にあなたも徐々にわかってくるはず」と笑顔を絶やさず意味深長な言葉を返した。

また、(習近平指導部が旗揚げした)共産党第十八回全国代表大会以前の汚職問題も追及するのか、との委員の質問に対して、王書記は「断じて見逃さない」と徹底調査の姿勢を強調した。

中国政府系メディアの同会議に関する報道は、上記2つの質問に一切触れなかった。

情報の信憑性について、本紙はまだ確認できていないが、今年3月の全国政治協商会議の記者会見でも酷似した一幕があったため、王書記発言への関心がより高まっている。

香港紙の記者が当時、昨年12月から絶えなかった周氏の身柄拘束説の真偽を問いただしたところ、呂新華・報道官は、「あなたはわかっているはず」と答えた。各方面は当初から、「周永康氏への調査を事実上ほのめかした」とその言葉の裏を読み取った。

その約4カ月後に指導部が周氏の失脚を発表した。

周氏が江沢民派の重鎮であることは世間に知れ渡っている。その背後の超大トラといえば、江沢民元国家主席とその右腕とされる曾慶紅元国家副主席にほかない。

汚職撲滅運動の主将である王書記の今回の意味深長な答えは、前記2人の超大トラへのメス入りを示唆するもの、との見方が大勢だ。

(翻訳編集・叶子)
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