前世と今生のつながり 

現在の科学では前世の存在が証明できないため、多くの人は生命の輪廻(りんね)を信じていない。しかし、前世の存在は多くの生命現象から示されており、それらの現象は前世と今生にさまざまなつながりがあるという説もある。

 米国の心理学者ディック·サットフェン(Dick Sutphen)氏の研究によると、前世の行いは今生のいたるところに影響するという。その研究結果は、『前世療法(Past-life Therapy in Action)』や『定められた愛(Predestined Love)』などの本にまとめられている。

 サットフェン氏の研究によれば、前世と今生のつながりは(カルマ)によって生じるという。前世に良くないことを行って生じた業は、今生のさまざまなところに影響を与える。彼は生命に対する業の影響を、以下の五種類に分けている。

 一、償うべき業

これは業による単純な因果関係である。例えば、前世で他人に対して非常に冷酷であった人は、今生は孤独で、友情を得られないまま一生を終えることになる。前世で他人の昇進のチャンスを潰していた人は、今生では自分が昇進のチャンスを掴むことができない。前世で嫉妬のあまり恋人の頭部を凶器で殴って死なせた人は、今生ではひどい偏頭痛を患う。前世でローマ兵士としてキリスト教徒の囚人の目を潰した人は、今生では生まれつき盲目となる。
 

 二、身体の業

これは前世で身体に受けた障害が、今生でも現れる現象である。身体の業はほとんどの場合、前世と同じ部位に現れる。輪廻にかかる時間が短く、生まれ変わっても傷痕が身体に残っているためだ。生まれつき肺を患っている子どもには、前世でタバコを吸いすぎて肺がんで亡くなった歴史があった。また、顔に傷跡のようなあざがある人は、前世はひどい火傷で亡くなっている。

 三、恐怖を感じさせる業

恐怖を感じさせる業は、前世の人生経験から由来したものである。今生、仕事中毒症の男性は、前世で世界経済大恐慌の時に家族を養うことができず、餓死した息子を自分の手で埋葬した記憶が残っていた。そのため、今生は同じ状態に陥らないように、すべての精力を仕事に注ぎ、家族の生活が困らないように、無意識に努力している。業によって起こったこのような問題は、前世療法で簡単に解決できる。原因が判明すれば、自然に恐怖感が消失するからである。
 

 四、罪を感じさせる業

罪を感じさせる業は、前世で起こした傷害事故などから由来したものである。例えその事故の責任が自分になくても、やはり罪を感じるという。例えば、前世で車を運転している時に子どもにぶつかり、その子の足に後遺障害を残してしまった人がいる。自分に過失はなかったものの、自責の念にとらわれ、今生では小児麻痺で下肢付随となった。
 

 五、事業に執着する業

能力や知識は何回もの生まれ変わりを通して蓄積され、初めて高いレベルに達することができる。音楽に対して深い興味を持つある人物は、音楽の領域で事業を成就したいと願い、6回の輪廻を通して、ずっと音楽の修行を行ってきた。一世ずつ能力を蓄積し、最後にやっと有名な音楽家になれたという。また、今生で30年間の幸せな結婚生活を過ごしたある女性は、この幸せな結婚生活のため、何回もの生まれ変わりの中で常に教養が向上するよう努力を重ねていた。

 以上の事から考えると、人生における運の良し悪しは偶然ではなく、そのすべてに因果関係がある。一生一代のみにしか目を向けられず、人生を不公平に感じる人は少なくない。しかし、長い生命の輪廻過程を総体的に見れば、運の良し悪しはすべて必然であり、自分がしてきたことの結果であり、決して偶然なことでもなければ不公平なことでもないのだ。
 

 (翻訳編集・啓明)