薬用植物 ツリガネニンジン、トウシャジン

キキョウ科のツリガネニンジン(釣鐘人参)やトウシャジン(唐沙参)の根は、南沙参(なんしゃじん)として漢方薬に用いられます。これらの根にはイヌリンやサポニンといった成分が含まれており、気管や気管支に溜まった痰の除去や、咳を鎮める作用があります。補陰(滋潤)作用もあるため、麦門冬(ジャノヒゲの根)や玉竹(アマドコロの根)などとともに益胃湯(えきいとう)に配剤され、脱水傾向の口渇や咳の症状に用いられることも多い薬草です。また、慢性肝炎などで喉が渇いたり皮膚が乾燥したりする場合には、地黄(じおう)や川楝子(せんれんし)などとともに配剤された一貫煎(いっかんせん)という処方を用います。

日本ではツリガネニンジンやトウシャジンを「トトキ」と呼び、食用にしています。春には新芽を軽く茹でておひたしに、秋には掘り出した根からひげ根を取り除き、茹でて油で炒めて食べます。粘膜を刺激するサポニンが含まれるため、茹でた後、水にさらすのが調理のポイントです。

(吉本 悟)

▶ 続きを読む
関連記事
研究では、生物学的年齢は生活習慣によって変わることが判明。運動、食事、睡眠、喫煙・飲酒の回避、ストレス管理の5つを改善するだけで、老化を遅らせ、寿命を延ばす可能性が示された。習慣の見直しは何歳からでも効果があるという。
初めての心不全・脳卒中の影に、実は99%以上が共通の4つの兆候を抱えていた――最新研究が示した「見逃しやすい危険信号」と、予防のために今すぐ見直すべき生活習慣をわかりやすく解説します。
人気食材アボカドには、歴史・性の健康・怪我・アレルギー・動物毒性まで意外すぎる秘密が満載。読むほど驚きが続く「7つの知られざる真実」をご紹介します。
数百年前の喫煙習慣が、なんと骨にまで刻まれていた──。最新研究が明かした「骨が語る喫煙の記憶」は、健康観を揺さぶる驚きの事実です。
浜崎あゆみの上海での公演がキャンセルされた後の行動に称賛が集まっている。中共政府の常軌を逸した日本への外交攻撃に巻き込まれたが、今回のトラブルはかえってチャンスを広げる結果となるかもしれない。