ネパール伝統の殺生祭 終結へ

ネパールのガディマイ(Gadhimai)寺院では、265年前から5年に一度、世界最大の動物供犠を伴うガディマイ祭が執り行われてきた。祭りの時期になると、約250万人のヒンドゥー教信者がインド、およびネパール各地から牛、羊、豚などの家畜を連れてガディマイ寺院に集まり、連れてきた動物を生贄としてガディ女神に捧げ、神の加護を願う。インド政府が祭り期間中の動物の輸出を規制したにもかかわらず、2014年に開催された祭りでは20万頭の動物が殺された。

短期間で数十万頭の動物が無惨に殺されてしまうガディマイ祭りに対し、世界動物愛護団体は抗議の声を度々挙げてきたが、最近ようやく「2019年の祭りを最後に、動物の殺戮を禁止する」とガディマイ寺院が宣言した。祭りの関係者は「古くからの慣習を変える時がきました。血まみれの殺戮や暴力を、平和的礼拝と祝福へと変える時期がきたのです」と話した。

これに対し、ネパール動物福利連盟の責任者は「寺院側からこのような屠殺禁止令が発表されたことを、とても嬉しく思っています。しかし、我々の任務はまだ終わってはいません。この禁止令をより多くの人々が支持し、遵守するよう働きかけねばならないのです」とのコメントを発表。だが寺院側は、「265年の歴史を持つ祭りの儀式を短期間で変えるのは、とても難しいと思います。血まみれの動物を捧げてはじめて女神のご加護を得られると、多くの民衆が深く信じているからです」と指摘している。

国際人道協会動物保護組織の顧問は次のように述べている。「当面の課題は、動物を供物として惨殺するのが非人道的な行為であることを、どのようにして多くの信者たちに理解してもらうかである。我々はこれからの3余年の間に、信者たちに正しい観念を教育しなければならない」

(編集翻訳・賢吾)