中国 命までも「資産」

借金で差し押さえられる命たち ワニから猫まで強制競売される中国の現実

2025/09/08 更新: 2026/05/15

借金返済に行き詰まると、いまの中国では家や土地だけでなく、生き物までもが「資産」として裁判所に差し押さえられ、競売にかけられるという。

ワニの群れから一匹の猫まで、法廷が堂々と売りに出す姿は、法治国家を名乗る国の現実を皮肉に映し出している。

 

借金のカタはワニ 「自分で捕まえて持ち帰れ」

8月18日、広東省中山市の裁判所は司法ネット競売サイトに、総重量1250キロにのぼるシャムワニ(国際自然保護連合の絶滅危惧種に指定されている)を出品した。入札条件は「飼育許可証や捕獲資格を持っていること」そして落札者自らが危険な捕獲・運搬を担うことだ。

借金返済のためにワニを「競売物」とする冷酷さに驚きが広がったが、初回の入札はゼロ。命を投げ出しても誰も欲しがらないという皮肉な結果になった。

 

強制競売に出品されたシャムワニの一部(競売サイトのスクリーンショット)

 

「借金返済猫」に熱狂するネット民

一方、江蘇省では借金のカタとなった3歳のオス猫が、ネットで爆発的な人気を呼んだ。主人の財産差し押さえと同時に裁判所に押収され、ペットショップで2年間「牢獄暮らし」を強いられてきたという。

この猫が競売サイトに出品されると「借金返済猫」と呼ばれ、第一次競売は9月3日から開始された。開始価格は500元(約1万円)と安値ながら、すでに数千人が参加登録し、数万人が入札リマインダーを設定、閲覧数は30万回を超えていた。

この猫を預かっているペットショップの店員は「ここ数日、この『借金返済猫』の影響で店の経営にも支障が出ている」と語った。電話で問い合わせが殺到するだけでなく、一部の過激な動物保護団体からは「一つの命を競売にかけるのか」と非難の電話も相次いでいるという。

 

借金のカタとして差し押さえられた三歳のオス猫、江蘇省(スクリーンショット)

 

世界の現状と中国の特殊性

もちろん、世界でも「動物が差し押さえられる」例は皆無ではない。アメリカやヨーロッパでは牧場経営者が破産すれば牛や馬などの家畜が担保として競売にかけられる。日本でも法的にはペットが動産として差し押さえ可能とされている。

しかし実際に家庭の犬や猫を裁判所が押収し、ネットで公開競売にかける事例はほぼ存在しない。人道的観点や世論を考えれば、現実には避けられるからである。

一方で、中国では「資産なら何でも差し押さえる」という考え方が強い。

しかしネット上では、「命まで資産扱いか」「人間の借金を、なぜ動物が背負うのか」など、こうした扱いに疑問や同情の声も広がっている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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