薬用植物 センニンソウ
センニンソウ(仙人草)はキンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、根を乾燥させたものは威霊仙(いれいせん)という生薬として用いられます。アネモニン、有機酸が含まれ、生の状態では毒性が強いため、生葉の汁が皮膚に付くと炎症したり、水泡が生じたりするので注意が必要です。
威霊仙には祛風湿(風邪の湿邪によって起こる体の痛みを緩和させる)作用、通経絡作用があり、リウマチや痛風による関節痛、手足の痺れに用いられます。また、明代に纏められた『万病回春』を原典とする処方に二朮湯(にじゅつとう)がありますが、これは威霊仙をサトイモ科の半夏や天南星、キク科の白朮、蒼朮などと組み合わせる処方で、上腕や肩関節の痛みを和らげる効果があり、肩関節周囲炎(五十肩)に用いられます。同じく『万病回春』に出てくる疎経活血湯(そけいかっけつとう)という処方では、祛風湿、通経絡の作用があるセリ科の当帰、羗活、白芷、防風及び瘀血(おけつ)を取る桃仁、赤芍薬などと威霊仙を組み合わせて、坐骨神経痛、打撲痛、痺れなどを改善する目的で用いられます。
(吉本 悟)
関連記事
人生のどん底で出会った一冊の本が、心と体に奇跡をもたらした──書道家や太極拳指導者、そして46年の病を抱えた女性。それぞれが法輪功に出会い、人生が一変した体験とは?
夜中に突然、ふくらはぎが激痛…その原因と対処法、そして予防に効く10の食材とは?中医学の知見を交えて、こむら返りの根本対策を紹介!
春に桜餅を食べるのは、実は理にかなっていた?小豆・もち米・桜の葉がやさしく体をととのえる理由とは──春の不調に寄り添う、薬膳和菓子の知恵を紹介。
話せなかった息子が会話を始めた──注目の天然成分“スルフォラファン”が、自閉症児に見せた劇的な変化とは?
「ただの風邪」と油断していませんか?芸能人の突然死で注目を集めるインフルエンザの脅威。高リスク層が今すぐ知るべき予防の鍵とは?