高い実用性を秘めた植物

ヤシはタイ人の宝物

タイバンコクから南西へ72キロ、国内で最も小さい県、サムットソンクラム県。川の下流に位置する水辺の街、アンパワーには農作物のよくできる肥沃な土壌にヤシ林がある。ヤシを植えると3年後に花が咲き,、実(ココナッツ)を結ぶ。栽培初期は主にヤシの花軸を採り、花密でヤシ飴を練る。

農夫に栽培されているヤシはほとんどが小型ヤシ。新鮮なヤシは国内販売だけでなく、海外にも輸出されている。

殻の中のココナッツジュースの一番豪快な飲み方は、ヤシ林で無限にヤシを飲むことだ。ヤシ農民協会はストローとスプーンを準備し、その場でヤシを採ったり切ったりして観光客に存分に飲ませる。もう一つは、外皮を剥いたヤシを炙って飲む方法だ。ヤシのすがすがしい香りが漂い、甘味も倍増する。

ヤシで作った料理でよく知られるのがココナッツパウダーで作られたデザート。他にも、マンゴーともち米にココナッツミルクをかける「カオニャオマムアン」、カレーやトムヤムクンなど煮込み料理にも使われている。観光客は、ヤシの果実からココナッツミルクを作ったり、デザートを作ったりと、その場で体験することができる。

一方、ヤシの果実で作ったココナッツオイルは温かい飲み物に混ぜて飲んだり、調理用オイルとして使用することもでき、肌に直接塗ってスキンケアに使用することもできる。ミランダ・カーや、アンジェリーナ・ジョリー、栄養コンサルタントのエリカ・アンギャルなどの著名人も使用しており、現在、美容効果の高いオイルとして注目を集めている。

その他にも、ヤシの外皮は炭として使われたり、寝床を作ったりすることができる。内皮は食器のかわりに使用され、新鮮なヤシの葉ではストローハットを編んだりおもちゃを作ったりすることもできる。最後に、ヤシの木は切り落とされ、建築材料として利用される。タイのヤシの木には捨てる部分がなく、タイの人にとっては宝物なのだという。

(翻訳編集・真悟)