米ユタ州のフィッシュレイク国立森林公園には、パンド(Pando)と呼ばれる世界最大のポプラの森がある。約106エーカー(42万9千㎡)という広大な大地に広がるこの森は、約4万7千本のポプラの木からできている。専門家の分析により、この森のポプラ全てが1つの根を共有していることが明らかになっている。それはつまり、この森がたった1つの木からできているということを示している。
世界最大であるとともに、パンドは世界最古の木であるとも考えられている。その推定樹齢は8万歳。米農務省のパンドウェブサイトには、「この森は1つの種子から発生したポプラのクローン群で、地下で成長を続けた根系のあちこちから新たな幼木が芽吹き続けた結果、時を経て広大な森に成長した。そのため、全てのポプラは同一の遺伝子を持っている」と説明されている。
ワシントンポストが8月1日に報じたところによると、パンドとはラテン語で「私は広がってゆく」を意味している。だが残念なことに、パンドは現在、瀕死の状態にある。
「我々の調査によると、パンドは消滅の危機に瀕している」ユタ州立大学の研究者、ポール・ロジャーズ氏はパンドの将来を憂慮している。「古い木は瀕死の状態にあり、新しい木は野生動物に食い荒らされているからだ」古い木は寿命を迎えようとしているのに、新しい若木が周囲に生息するシカやヘラジカに食べつくされてしまうため、木々の世代交代ができないのだ。
だが、解決方法はすでに見つかっている。森全体に囲いを作るというごく簡単な方法だ。
ロジャーズ氏ら研究者は17エーカー(6万9千㎡)のバンドに囲いを作り、その後植生を焼き払って灌木を除去し、パンドの成長を促進させるという方法を試してみた。3年後、囲いの内側のポプラの単位面積当たりの個体数は、囲われていない部分と比較して8倍以上になった。
これは動物による若芽や幼木の食い荒らしが減ったことが主な原因と同氏は分析している。「嬉しいことに、柵で森を囲うだけで、パンドの保護にかなりの効果を上げることができるのだ」
「ただ、この広大な森をすっぽり囲い込むことのできる柵を作るにはコストがかかりすぎるため、森全体に柵を施すことは無理なことも分かっている」と同氏は語っている。
(翻訳編集・島津彰浩)
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