次期欧州議会議長候補 初の聴覚障害者女性政治家
今年の9月末に欧州議会で世界初の24カ国の同時通訳と31カ国の手話通訳が付いた国際大会が行われました。大会には43カ国から1,000人以上の聴覚障害者、身体障害者が参加しました。これは欧州議会初めての聴覚障害者女性議員、ヘルガ・スティーブンズ(Helga Stevens)氏が発案しました。
次期欧州議会議長の候補者として推薦され、また現欧州議会3番目の規模である欧州保守改革グループの副代表である彼女は、ハンディキャップを克服して欧州議会議員になりました。彼女の道のりは並大抵ではありませんでした。
ベルギーのある小さい町に生まれたスティーブンズ氏は、障害を持たない両親に特別扱いされることなく、普通の子どもと同じように育てられました。彼女は聾啞学校を経て、中学校から普通の学校に通いました。人を助け世界を変えようと考えた彼女は大学で法律の勉強を選び、1993年、ベルギーで初の聴覚障害者弁護士になりました。
のちに、両親の導きで政治に対して意識し始めました。彼女は「弁護士なら一人の生活を改善することができるが、政治に関わる仕事をすれば、多くの人の生活を改善することができる」という思いで、政治家になることを志しました。2007年、彼女はベルギー議会初の聴覚障害者議員になりました。ベルギー議会は彼女のために手話通訳をつけ、議会の一部規則を変えました。
しかし、やはりもどかしい思いをすることが多くあります。彼女は、「話したい時にすぐに電話をかけられないことが、いつも悔しく思います」と話しました。聴覚障害者だからと言って、24時間手話通訳に付き添ってもらうわけには行きません。政治に関わる仕事は毎日朝9時から夕方5時で終わるものではなく、夜の会合もあります。それでも彼女は「あきらめない、失敗しても、立ち上がってひたすら努力する」と、前進し続けています。
90年代から彼女のことを知っている欧州障害者フォーラム主席のイアニス・ヴァダカスタニス(Ioannis Vardakastanis)氏は、「彼女は非常にプロフェショナルで、政治においても家庭においても成功しており、円満な人格を持つ人です」と、彼女を評しました。
スティーブンズ氏は、目下欧州全体が直面しているEU難民制度問題やフランスとベルギーで起きたテロ事件に関する安全問題を仕事の重点にしながら、欧州議会の多くのプロジェクトに携わり、欧州の障害者たちの仕事と生活条件を改善する活動にと多忙な生活をしています。
また、彼女は欧州議会が最近通過した第48号議案に署名し、支持しました。414名の欧州議会議員の署名を得て通過した同議案は、「中国で現在起きている良心の囚人、特に大量の法輪功学習者から臓器が摘出され、売買されるという非人道的な犯罪を調査し、制止する」という内容です。彼女はこの犯罪を非難し、責任者は裁かれるべきですと主張しています。
彼女は自分の成功経験を語りました。「自分を信じて『やりたいと思うことがやれる』と、プラス思考でいくのです」「もし、今日があなたにとって最悪な1日だったら、明日は必ず今日より良くなるのです。諦めるな、努力に努力を重ねて、とにかくやれば良いのです」
ハンディキャップを持ったスティーブンズ氏は、学生から社会人になり、そして弁護士、欧州議会議員、さらに妻になり母親として、人知れぬ苦しみを嘗め尽くしたに違いありません。自分の強い信念を貫き、多くの困難を乗り越えてきたからこそ、彼女は清々しく輝いているのではないでしょうか。
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(翻訳編集・豊山)