(pixabay)

【神仙故事】素直な商人が仙人になった話

中国には古くから、修煉を通して神仙になった人たちの物語がたくさんあります。特に多いのは、身体的な鍛錬よりも、誘惑を退け、徳を積むという心の修煉の物語。利益を追求せず、良心的に取引した商人が仙人になったお話をご紹介します。

************

李カクという15歳の青年がいた。彼は誠実で思いやりがあり、同世代の青年たちより大人びていた。彼の父親は所用で遠出をすることになり、李カクに家業である米の販売を任せることにした。

当時、商人の中にはずる賢い者が多かったが、李カクは良心的に取引することを心掛けた。米の値段の上下に心を動かさず、少しの売り上げでも満足し、お金は全部両親に渡した。しかし、不思議と李カクとその家族はお金に困ることがなかった。

ある日、父親は李カクに尋ねた。「お前、一体どのように商売をしているんだい?」

なぜなら、ほとんどの商売人は相手を騙すものだったからだ。米売りが米を百姓から買う時は大きな容器を使って計り、米を客に売る時は小さい容器を使って値段を決める。誰もがそのようにして金儲けをしていた。

しかし、李カクは他の商売人の真似をせず、客が持ってきた容器で彼らに計らせ、良心的に米を売った。父親は感嘆し、「お前は常人を超えるほどの正直者だが、それでも商売は繁盛し、余裕のある暮らしを送っている。これはきっと、神がお前の善行に感心し、見守ってくれているからに違いない」

その後、李カクは80歳になるまで商売を続けた。100歳を超えても、彼の心身は非常に健康だった。

ある日、彼は子供たちを集めて言った。「わしは、すでに長い人生を送ってきた。真気を養ってきたが、わしはもう、お前たちの役には立たないだろう」。李カクはそう言い残すと、次の日に亡くなった。

3日後、人々は彼の棺からパンっと何かが割れるような音を聞いた。親族が急いで棺を開けてみると、そこに彼の遺体はなく、衣服だけが脱ぎ捨てられていた。

李カクはこの世での修煉を成就させ、仙人となり、自由自在の身となった。

 ≪列仙伝より≫

(郭丹丹)

関連記事
台湾で最も歴史のある台南は、閩南(びんなん、福建省南部)系の古い建物や、和洋折衷の歴史建築などが多く残っていて […]
端午の節句に風に揺れる五色の鯉のぼりは、日本の風物詩の一つですが、その起源は古代中国の神話「鯉が龍門を飛ぶ(鯉の滝登り)」に由来します。この節句はもともと男の子の成長を祝う日とした伝統行事です。
とんでもないおふざけと残酷なディストピアを力づくで押し付けようとする単一の方針が、これほど急速に地球全体を支配したことはない。2020年、コロナウイルスを封じ込めようとする無益な試みによって、これは起こった。
1271年、モンゴルのフビライ・ハンが元を建て、初めての漢民族以外の皇帝となりました。その後、数十年にわたり、中国はかつてない規模の帝国となり、元は文化の多様性と国際貿易の栄えた時代となりました。
明の最初の皇帝・太祖の生い立ちは、朝廷生活とはほど遠く、彼は朱元璋と名付けられた農民の子供でした。彼は最初、僧侶の道を歩みましたが、モンゴル主導の元が朝廷内の闘争で弱体化する中で反乱軍に参加し、まもなく右に出るもののいない軍事家として才気を発揮することとなりました。