臓器狩り調査のドキュメンタリー映画 米で世界初公開
今この瞬間にも行われている、生きている人間からの臓器強制摘出。中国共産党政権が主導するこの人道犯罪を、10年の歳月をかけて調査したドキュメンタリー映画『活摘 十年調査(仮邦題:臓器狩り―10年の追跡調査)』が、11月19日にテキサス州ヒューストンで世界初公開された。
その規模は「もはや戦争に等しい」国家的犯罪
元軍医で、法輪功迫害を追跡調査する国際組織(以下、追査国際)の代表・汪志遠氏は、臓器移植という手段により行われている国家規模の法輪功学習者大虐殺は、軍と武装警察が主体となって推進する「もはや戦争に等しい」国家的犯罪だと発言した。
この映画はほぼ全編が、中国本土に対する追査国際の調査結果に基づき制作されており、調査対象は中国の病院や医者はもとより、国営メディア、裁判所、政法委、610弁公室(法輪功学習者の取り締まりを専門に行う、非合法的に設立された政府機関)、そして多くの政府高官など広範囲にわたっている。そして調査を受けた医療機関30数か所は、いずれも直接的又は間接的に法輪功学習者の臓器を移植手術に使ったことを認めている。
映画は、中国での取材調査を通じて得られた大量の証言や事実確認に基づき、臓器狩りが裏社会の犯罪シンジゲートなどによって行われているのではなく、国家主導の犯罪行為であることを明らかにしている。そして臓器狩りは、江沢民が命じ、政法委の管轄の下で、軍と司法システムが推進した国家的犯罪行為であり、世界でも類を見ない極めて残虐な行為だと主張している。
中国全体で年平均19万2000件
汪氏によると、臓器狩りに関与しているとされる中国国内の医療機関数百カ所のうち、1年間の平均臓器移植数が2000から3000件にも上る病院が96カ所もあり、これらの病院が1年間に行う移植手術数を合計すると、中国全体で年平均19万2000件もの移植手術が行われていることになる。いっぽう、中国当局は、移植手術は「毎年1万件」と主張している。
そして、中国では軍と武装警察が主体となって移植手術が行われていることを挙げ、国家ぐるみの臓器移植犯罪が形成されていると語気を強めた。「一般的に、軍を動員するということは、それが国の認めた行為であるということを意味する」。
周知の通り、06年に中国当局が法輪功学習者を移植手術用臓器の供給源としていることが明るみに出たが、それからわずか1年の間に、実際の移植手術数がそれまでのデータを上回っていたことが明らかになった。
「これはある種、(法輪功迫害の)生き証人を根絶やしにするための緊急措置だが、(政権は)臓器移植という手段によって迅速に証拠隠滅をしながら金儲けも行っている。中国で行われている、この国家的大虐殺は、いうなれば戦争が行われているに等しい。だがこの戦争は他の国を相手にしているのでも、敵に立ち向かっているのでもなく、ごく普通の民間人を標的にしている」。
同映画は中国語では動画サイトのyoutube、Vimeo、新唐人テレビなどで公開されており、関係者は拡散を呼び掛けている。日本語を含む多言語の字幕は作成中。
映画を監督した李軍氏は、中国の近隣諸国から大勢の患者が移植目的で中国に渡航していることをうけて、字幕版の制作が急務だとしている。そして中国で行われている移植手術の裏側には、罪のない人々を標的にした大虐殺という真実が隠されていることに、人々が一日も早く気付くことを切に願っていると語っている。
(翻訳編集・島津彰浩)