日中文化

弥生時代の日本へ 中国の貨幣を発見=淡路島

紀元14~40年にかけて中国古代「新」「後漢」時代で鋳造されたとみられる貨幣「貨泉」3枚が、兵庫県淡路島の入田稲荷前(いりたいなりまえ)遺跡で見つかった。

現地の調査チームによると、貨泉は、奈良~鎌倉時代の土器を含んだ土の層から出土し、3枚重なった状態で見つかった。近くの弥生時代の穴などにあった緡(さし・約95枚の銭を紐でまとめたもの)の一部が流れこんだと見られている。

兵庫県内での貨泉の出土は7遺跡10点。全国では九州や近畿、瀬戸内海沿岸などの遺跡で計約180枚が見つかっている。

弥生時代の出土は、この入田稲荷前遺跡と姫路市鍛冶屋遺跡の2遺跡のみ。また、南あわじ市内では、阿万東町所在の北田(きたんだ)遺跡で中世の柱穴から1枚出土した。

淡路島 過去には銅鐸も

淡路島では、松帆銅鐸や古津路銅剣など、青銅器も発見されてきた。同教育委員会によると入田稲荷前遺跡は、弥生時代最大級の鉄器工房である淡路市五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡や中国鏡片が出土した淡路市舟木遺跡と同じ時期で、青銅器から鉄器へと移り変わるときの畿内への玄関口となっている。

貨泉とは、中国の新(しん)の王莽氏が、A.D.14~40年の短い期間に造った貨幣。年代決定に重要なものさしとなる。日本では弥生時代後期初め~古墳時代初めに出土。交易品やアクセサリー・青銅器の材料・貨幣としての使用など、さまざまな説があり、現段階では用途はわかっていない。

(編集・甲斐 天海)