文化庁は5月19日、新たに10件の建造物を重要文化財に指定するよう、松野博一文部科学相に答申した。
注目されているのは、京都府乙訓郡大山崎町にある京都帝国大学教授だった藤井厚二氏の自邸。日本の気候風土に合わせた住宅様式を探求し続けた藤井氏の研究の集大成と言われている。1928年前に建てられた木造住宅建築物で、聴竹居(ちょうちくきょ)と呼ばれている。
住宅研究を重ねる藤井氏は1920年からほぼ2年おきに自邸を建てた。聴竹居は現存する最後の作品で、和洋折衷のデザインを組み合わせた戦前の木造住宅建築の代表作とされる。モダンでありながらも、数寄屋技法などの日本の伝統的な技術が取り入れられている。
文化庁の文化審議会は、聴竹居を重要文化財に指定したことについて「工学的理論に基づいたモダニズム住宅の先駆的存在として、住宅史上、建築学上において重要」とコメントしている。
今回の10件の追加で、国宝を含む重要文化財(建造物)は、2474件、4935棟となる予定。
(編集・甲斐 天海)
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