米国「パリ協定」を離脱へ、各国の反応は
トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した。世界第2の温室効果ガス排出国とされる米国の離脱に、世界各国政府の間で波紋を広げた。
トランプ大統領は、パリ協定は米国の経済と雇用に打撃を与えるとの見解を示し、「米国の主権を改めて主張する」と述べた。また、今後交渉を経て再参加の可能性を検討するが、その場合は、米国民、納税者と米企業にとってより公平な新たな条件でなければならないと強調した。
大統領の「パリ協定」離脱は選挙中に掲げた公約の一つだった。
米国の同協定離脱の表明したが、国連や他の米同盟国は引き続き、同協定の下で地球温暖化対策を講じていくとした。
国連のステファン・デュジャリック報道官は、「米国の『パリ協定』離脱決定に対して、非常に遺憾だ」と述べた。
ドイツとフランス、イタリアの首脳は1日、共同声明を発表し、「この普遍的な協定から米国が離脱するという決定を遺憾に思う」とした。イギリスのボリス・ジョンソン外相はそれぞれ「われわれは引き続き、『パリ協定』を支持し続ける」と表明した。
また、中国当局や欧州連合(EU)やインドなども、米国が同協定から離脱しても、引き続き気候変動対策を行っていくように求めた。
2015年フランスパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)に出席した米国交渉団団長だったトッド・スターン氏は新唐人テレビ(NTDTV)に対して、「米国の離脱は世界に大きな影響を与える。トランプ氏自身の政治業績に不利になる」と示した。
また、スターン氏は同協定の下で、クリーンエネルギー産業を発展させれば、大きな商機をもたらされると示し、「米国の多くの経済界関係者はトランプ大統領に、同協定への残留を説得してきた」と話した。
いっぽう、トランプ大統領の決断に賛成する専門家がいる。米環境情報誌「環境と気候ニュース」の編集長のスターリング・バーネット氏(Sterling Burnett)は、「多くの米国大企業は生産工場を海外に置いてあるため、同協定によって受ける影響や制約が少ないと考えている」とし、これがトランプ大統領が米国製造業の復活と雇用拡大の障害となっていることを示した。
米ホワイトハウスが、同協定への残留で、2040年に米国は約650万人の雇用機会が失うことや、マサチューセッツ工科大学の研究では、協定締約国が温室効果ガス排出量目標を達成しても、気候への影響はわずかだとの結果、同協定は中国に有利だなど4つの理由で離脱を決めたとした。
(編集・福田 春代)